セッション情報 ワークショップ1

アカラシアの治療戦略,治療の第一選択は

タイトル W1-11:

POEMは術後の難治性逆流性食道炎の予防のために,噴門形成術の追加を必要とするか?

演者 塩飽 洋生(福岡大学消化器外科)
共同演者 井上 晴洋(福岡大学消化器外科), 山下 裕一(福岡大学消化器外科)
抄録 【はじめに】食道アカラシアに対する根治治療はHeller筋層切開術と経口内視鏡的筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy:POEM)である.Heller筋層切開術では,高い治療効果が得られる半面,術後に難治性の逆流性食道炎を併発するために,噴門形成術の追加が行われてきた.一方POEMでは,解剖学的にHis角を温存できるため,術後の難治性逆流性食道炎の併発が少ないと考えられている.今回,我々は2011年9月から2013年5月の間に施行したPOEM47例のうち,3か月以上経過した症例における逆流性食道炎の併発の有無について検討したので報告する.【方法】2011年9月から2013月9月までに47例のPOEMを施行した.そのうち3か月以上経過した29症例に対し,Eckgardtスコアによる症状の評価と上部消化管内視鏡検査,24時間pHモニタリング検査を施行した.【結果】男女比:10:19,平均年齢:49.3歳(26-79),全筋層切開長は14.4cm(8-26),胃側の筋層切開長は3.1cm(1-5cm)であった.6例に内視鏡的バルーン拡張術が施行されていた.逆流性食道炎に関しては,24時間pHモニタリング検査にてpH<4時間(%)が4%以上であったのは8例であった.上部消化管内視鏡検査では,Los Angeles分類でgrade N:12例,grade A:13例,grade B:4例という結果であった.4例に逆流性食道炎の症状を認めたが,全症例においてプロトンプポンプインヒビターの内服で改善した.【結論】POEM術後の逆流性食道炎は,自覚症状および検査所見が軽度なものにとどまっており,全例,制酸薬の投与でコントロールが得られた.今回の検討からは,難治性逆流性食道炎の予防のため,噴門形成術の追加は不要であると考える.
索引用語