セッション情報 ワークショップ1

アカラシアの治療戦略,治療の第一選択は

タイトル W1-12:

食道アカラシアに対する内視鏡的根治術“POEM”最近の工夫を含めた我々の60例の経験

演者 南 ひとみ(長崎大学病院消化器内科)
共同演者 磯本 一(長崎大学病院消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学病院消化器内科)
抄録 【はじめに】食道アカラシアに対する新たな低侵襲根治術である内視鏡的食道筋層切開術(Per-oral endoscopic myotomy;POEM)が開発され,5年間が経過した.我々は平成22年8月より同手術を導入し,以後60症例において良好な成績を得ている.びまん性食道痙攣等のアカラシア類縁疾患や外科手術後再発例は,治療の選択肢が限られPOEMの良い適応と考えられるが,術後の線維化や形態的な変化により手術操作困難となることがある.当院では,これまでにびまん性食道痙攣2例および術後再発症例4例に対して同手術を行っており,最近の工夫を交えて報告したい.【対象と方法】症例は,2010年8月より2013年9月までに当院でPOEMを行われた16~85歳(平均55.1歳)の60症例(男女比24:36).全身麻酔下で,経口内視鏡的に食道前壁の粘膜下層へスコープを挿入する.食道胃接合部を約2cm通過する粘膜下層トンネルを作成し,内輪筋を切開する.狭窄部が解除されたことを確認し,entryを縫縮する.剥離・切開のデバイスとして三角ナイフ(Olympus, Tokyo)を用いた.また,2013年8月からの7症例において,食道胃接合部を識別する目的に開始時にICG局注によるマーキングを行った.【結果】術前後で内視鏡所見,自覚症状スコア(Eckardt score;6.7→0.9),食道透視像,平均下部食道括約筋圧(69.8→21.7mmHg)は劇的に低下した.術後出血を3症例に認めたが,全例で保存的に軽快した.重篤な合併症は認めず,12症例(20%)に有症状のGERDを認めた.また,ICGを局注した症例で,トンネル終点を明瞭に確認し得た.【考察と結論】POEMは,低侵襲に食道機能性疾患の症状を有意に改善した.びまん性食道痙攣はバルーン拡張の効果が期待しにくく,POEMが第一選択になりうる.また,POEMでは全方向からの筋層切開が可能であり,術後症例に対しても有効な治療法である.ICG局注は,特に術後症例で切開の方向や終点を確認でき,有用であった.
索引用語