セッション情報 ワークショップ2

FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩

タイトル W2-1:

CRF-関連ペプチド,ウロコルチン1脳室内投与の食欲抑制作用機序に関する研究

演者 魯 昭輝(帝京大学ちば総合医療センター共同研究室)
共同演者 高山 清茂(群馬大学医学部保健学科), 屋嘉比 康治(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科)
抄録 機能性消化管障害(FGID)の発症機序において心理的ストレスは重要な発症要因である.一般的にストレス発症時には視床下部からCRFが分泌され視床下部-下垂体-副腎を介する内分泌系と交感神経系を刺激することによってストレス反応が形成される.今回,FGID発症のメカニズムを明らかにするためにCRF-関連ペプチド,ウロコルチン1(UCN1)をラット脳室内に投与して,食欲と胃運動,グレリン分泌の変化を検討し,さらにCRF受容体拮抗薬やアドレナリン受容体拮抗薬を用いてメカニズムについても検討した.方法 食欲はラットの摂餌量と血中グレリン濃度を測定して検討し,胃運動は胃液体排出量とstrain gauge transducer法にて評価した.結果 UCN1脳室内投与にて摂餌量,胃排出,グレリン分泌は抑制され,CRF2受容体拮抗薬投与にて回復した.また,摂餌量とグレリン分泌はアドレナリン2受容体拮抗薬にても回復した.さらに中枢神経内機序については神経細胞活性化の指標となるc-fosおよびc-Fos発現をmRNA in-situ hybridazationと免疫染色にて検討したが,室傍核と青斑核,延髄腹外側核にて発現が増加した.結論 ストレス関連ペプチドUCN1による食欲低下および胃運動抑制には胃からのグレリン分泌抑制が関与し,その機序にはCRF2受容体,さらに交感神経の関与とアドレナリンα2-受容体の関与が示され,ストレス下の食欲低下の要因に交感神経の関与が重要な要因であることが示唆された.
索引用語