セッション情報 |
ワークショップ2
FGIDの病態生理学と脳腸相関研究の進歩
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タイトル |
W2-9:炎症性腸疾患患者に合併したIBS様症状
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演者 |
富田 寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科) |
共同演者 |
大島 忠之(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科) |
抄録 |
【背景】クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患(IBD)患者が寛解状態であっても過敏性腸症候群様(IBS)症状が残存し,その要因として微小炎症の残存が症状を誘発している可能性が示唆されている.これまで本邦での多数例や対照群と比較したIBDのIBS様症状の頻度やQOL,精神症状に与える影響はほとんどない.【対象と方法】2011年4月から2012年12月までに当院を受診したIBD患者のうち,臨床的寛解期と診断した158例と438人の一般企業勤務者を対照とした.寛解の定義はCD:CDAI index≦150,UC:CAI index≦4,CRP≦0.3とした.IBS診断はRome III日本語版問診票を用い,QOLはIBDQ,SF-8,精神症状はHAD尺度を用い,背景因子(年齢,性別,BMI,罹病期間,病型)についても検討した.【結果】158例のIBD患者(CD:109名,UC:49名)と438名の対象群からアンケートを実施しCDで27.1%(29例),UCで14.2%(7例),健常人で5.3%(23例)とIBD患者でIBS様症状の合併頻度が有意に高かった.IBS様症状残存CD患者ではIBDQスコアが有意に低く(165.5±21.1 v.s. 183.8±28.8,p<0.01),SF-8の身体的サマリースコア(49.8±5.2 v.s. 52.0±3.9),精神的サマリースコア(47.1±6.2,49.5±6.3)共に有意に低かった(p<0.05).精神症状は不安尺度がIBS様症状残存CD患者で有意に高かったが(7.0±4.0 v.s. 4.9±3.6,p<0.05),うつ尺度では差を認めなかった.また罹病期間の長い症例でIBS様症状残存例が多かった(16.0±8.5 yr v.s. 11.0±6.7 yr,p<0.05).UCではIBS症状残存患者はCDと同様にQOLは低く,不安尺度は高い傾向であったが統計学的差は認めなかった.【結語】日本人寛解期CD患者の約3割にIBS様症状が残存しており,有意にQOLが低下し,不安尺度が高い事が明らかとなった. |
索引用語 |
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