セッション情報 |
ワークショップ3
食道表在癌,早期胃癌に対する内視鏡診断治療の進歩
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タイトル |
W3-2:食道表在癌に対するESDの意義
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演者 |
飯塚 敏郎(虎の門病院消化器内科) |
共同演者 |
菊池 大輔(虎の門病院消化器内科), 貝瀬 満(虎の門病院消化器内科) |
抄録 |
目的:食道表在癌に対するESDは広く行われているが,これまでの内視鏡治療の位置づけを変えつつある.ESDは転移リスクがかなり低い病変に対する治療としてのみならず,転移リスクのある病変に対する診断的目的としても行われている.治療としてのESDと深達度診断が難しいMM/SM1病変に対する診断的ESDがもたらす意義を明らかにすることを目的とした.方法:2005年4月~2012年12月までに食道表在癌に対して行われたESD症例544例725病変(瘢痕症例やsalvage症例は除く)のうち,組織学的にT1a-EP/LPMと診断された392例553病変の短期,長期成績を明らかにする.またNBI拡大を導入した2007年4月以降の症例で,術前診断がMM/SM1であった106病変における診断の正診率,ESDの安全性と追加治療回避率を検討した.結果:組織学的なEP/LPM症例では,一括切除率100%,R0切除率95.1%,平均治療時間67分,穿孔9例(2.3%),後出血6例(1.5%),拡張を要する狭窄63例(16.1%)であった.また観察期間の中央値36.6か月で,局所再発1例,遠隔転移再発2例(リンパ節と肺)認められた.生存率は3年で96.5%,5年で93.3%であった.一方術前MM/SM1と診断された症例の切除後組織学的診断は,EP/LPM:30病変,MM/SM1:57病変,SM2以深:19病変であり,追加治療回避率は28.3%,正診率は53.8%であった.一括切除率100%,R0切除率95.3%,平均治療時間76.1分,穿孔1例,後出血2例,拡張を要する狭窄15例であった.結論:食道表在癌に対するESDは安全に施行でき,かつ局所制御に関しては有効な手段である.また術前診断と術後診断の乖離に対して侵襲の少ないESDで外科手術やCRTを回避できた症例は28.3%認められ,深達度診断目的でのESDの意義も認められる. |
索引用語 |
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