セッション情報 ワークショップ3

食道表在癌,早期胃癌に対する内視鏡診断治療の進歩

タイトル W3-3:

ESDが食道表在癌に果たした役割

演者 高橋 亜紀子(佐久医療センター内視鏡内科)
共同演者 小山 恒男(佐久医療センター内視鏡内科)
抄録 【目的】食道扁平上皮癌に対するESDの長期予後を検討すること.
【対象と方法】長期予後を検討するため2000年1月から2008年12月までにESDを施行した食道扁平上皮癌を対象とした.ライブ症例とCRT後の局所再発例を除く245例286病変が対象となり,その内訳は,男222例女23例,年齢69(42~91)歳,占拠部位Ce/Ut/Mt/Lt/Ae:6/27/181/63/9,肉眼型:0-I/IIa/IIb/IIc 6/23/28/229であった.対象に対し,1,切除長径中央値と腫瘍径中央値,2,深達度,3,一括切除率,4,局所再発率,5,偶発症,6,深達度別の予後を検討した.経過観察期間は68(36-161)ヶ月,予後補捉率は100%であった.
【結果】
1,切除長径中央値38(12~136)mm,腫瘍径中央値23(1~85)mmであった.
2,深達度は,EP-LPM/MM-SM1/SM2は217/51/18であった.
3,一括切除率は97%(277/286),R0切除率は95%(273/286)であった.
4,局所再発率は0%であった.
5,偶発症のうち,術中穿孔は0%,遅発性穿孔は0.3%(1/286)であった.
6,深達度別の予後:1)EP-LPMでは原病死は0%であった.2)MM-SM1でly陰性40例中,追加治療なしでは原病死3%(1/34),追加治療有りでは0%(0/6)であった.Ly陽性11例中,追加治療なしでは原病死33%(2/6),追加治療有りでは20%(1/5)であった.3)SM2では追加治療なしでは原病死0%(0/6),追加治療有りでは8%(1/12)であった.
【結語】ESDのR0切除率は95%と高値であり,局所再発率は0%であった.ESDの開発により,より正確な病理診断が可能となり,局所再発も減少した.ガイドライン病変では原病死はなく,その予後は良好であった.適応拡大病変では追加治療無しでも原病死3%であり,術死を考察すると外科治療と同等の予後が得られると考えられた.一方,適応外病変でも追加治療を加えることで良好な予後が得られた.
索引用語