セッション情報 ワークショップ3

食道表在癌,早期胃癌に対する内視鏡診断治療の進歩

タイトル W3-11:

Endoscopic submucosal dissection前の口腔内洗浄および胃洗浄法が治療後に及ぼす影響:胃内細菌培養の変化と臨床

演者 森 宏仁(香川大学医学部消化器・神経内科)
共同演者 小原 英幹(香川大学医学部消化器・神経内科), 正木 勉(香川大学医学部消化器・神経内科)
抄録 背景:外科手術時の手指消毒は術野の汚染を最小限に抑制できる菌量102-3個に減少させうるために行われる.一方endoscopic submucosal dissection(ESD)に対する胃内洗浄・消毒の報告はない.内視鏡は口腔内をとおるため口腔内細菌の暴露は必発である.胃酸の存在する胃内での管腔内治療に生理食塩水での洗浄が有効性の報告はない.ESD時生理食塩水の胃内洗浄の細菌量に対する影響を前向きランダム化比較で検討した.方法:2012年6月から11月までに早期胃癌と診断された患者50例.洗浄群(Clean group)25例と非洗浄群(Regular group)25例に振り分けた.Clean groupは,前日就寝前にイソジンでの5回のうがいと口腔内すすぎを行い,ESD当日は3時間前と30分前に同様にうがいと口腔内すすぎを施行した.胃洗浄前の胃内細菌培養としてESD開始前に蒸留水20mlを胃壁に散布し胃液を滅菌チューブで20ml採取し培養に提出した.胃内を生食2000mlにて胃内をくまなく洗浄した.ESDを通常どおりに行い,切除腫瘍を回収後,蒸留水20mlを胃壁に散布し胃液を滅菌チューブで20ml採取し培養に提出した.結果:細菌量の変化を対数表示で比較.Regular群でESD前はmedian 6.45(95%CI 4.93-7.32)で,ESD終了後median 5.62(95%CI 3.86-6.64)でESD前後で有意差を認めなかった(p=0.11).Clean群では胃洗浄前はmedian 6.50(95%CI 3.88-8.11)で胃洗浄後胃液菌量median 1.69(95%CI 0.84-3.68)と生理食塩水2000mlの胃洗浄で有意差をもって減少した(p=0.00003)結論:イソジンの殺菌効果は一時的で,30分もすれば,口腔内常在菌はもとの菌量に戻った.ESDにおいて生理食塩水2000mlによる洗浄は消毒と同等の細菌減少効果を示し良好な結果が得られた.
索引用語