セッション情報 ワークショップ4

消化器癌内視鏡外科手術の最先端

タイトル W4-4:

早期胃癌に対するセンチネルリンパ節生検併用内視鏡外科手術の短期・長期成績

演者 毛利 靖彦(三重大学消化管・小児外科学)
共同演者 大井 正貴(三重大学先端的外科技術開発学), 楠 正人(三重大学消化管・小児外科学)
抄録 【目的】近年,胃癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性と有用性について本邦より報告がなされた.当科では2000年より鏡視下センチネルリンパ節生検併用胃切除術を施行してきた.鏡視下センチネルリンパ節生検(L-SNB)による早期胃癌に対する個別化医療について考察する.【方法】対象は2000年より2010年までにL-SNBを併用した鏡視下胃切除を施行したpT1a,b胃癌121例とした.センチネルリンパ節(SLN)を同定するためのトレーサーは放射性同位元素(RI)と色素を併用し,RIは手術前日,色素は術中に内視鏡下に原発巣周囲の粘膜に注入した.SLN転移陰性例に対しては,D1+リンパ節郭清,陽性例に対してはD2リンパ節郭清を施行している.術後合併症および予後について検討した.【結果】対象症例は,男性77例,女性44例で,平均年齢は64歳であった.センチネルリンパ節同定率は97%(117/121)で,正診率は100%(117/117)であった.121例中,SLN転移陰性例の個別化縮小手術として胃切除範囲を縮小した症例は35例(29%)であった.平均手術時間は320分,平均出血量は244mlであった.術後合併症は24例(20%)に認めたが,手術関連死亡は認められなかった.5年生存率は93%,5年無再発生存率は98%で,再発例は1例に認めた.再発例はSLN1個のみにリンパ節転移を認めた症例でD2リンパ節郭清したが,術後遠隔リンパ節再発を認めた.SLN陰性で胃切除範囲縮小症例に再発は認められなかった.【結語】L-SNBを併用する胃切除術は早期胃癌に対する個別化低侵襲手術として有用であることが示唆された.リンパ節郭清範囲および胃切除範囲を縮小した術式についてはさらに症例を蓄積し検討することが妥当と考えられる.
索引用語