セッション情報 ワークショップ4

消化器癌内視鏡外科手術の最先端

タイトル W4-6:

骨盤外科における内視鏡外科手術の最先端

演者 上原 圭介(名古屋大学腫瘍外科学)
共同演者 吉岡 裕一郎(名古屋大学腫瘍外科学), 梛野 正人(名古屋大学腫瘍外科学)
抄録 (はじめに)狭くて深い骨盤内手術においては,開腹手術の視野を多数で共有することは困難であり,解剖の理解・手術手技の普及の妨げになっていた.近年,内視鏡外科手術の発展とともに,職人芸であった直腸癌手術は急速に一般化しつつある.しかしながら,側方LN郭清(LPLD)を中心とした,TMEの外側の世界は未だ霧がかっており,内視鏡外科手術により明らかとされることが期待されている.(目的)良好な視野が得られる内視鏡外科手術における,腹腔鏡下(L-)およびロボット支援下(R-)LPLD,腹腔鏡下骨盤内臓全摘術(L-TPE)の実際の手術手技を,ランドマークを示しつつビデオで供覧する.(手術手技)予防的LPLDは1:自律神経系の外側で内腸骨・膀胱血管茎の内側の脂肪織,2:血管系の外側の空間で,閉鎖腔の底まで含む,をそれぞれen-blocに郭清する.合併切除する脈管は閉鎖動静脈のみで,下膀胱の血管茎はすべて温存する.明らかな側方LN転移を認める症例では神経・血管合併切除を行う.TPEでは内腸骨血管の内側へ立ち上がる枝と神経を処理するのみで,LPLDが施行可能であれば比較的容易である.尿路再建は回腸導管を用い,臍下の小切開創から行う.(成績)2011年9月~2013年8月にL-LPLDを18例,R-LPLDを8例,L-TPEを4例に施行した.L-LPLDおよびL-TPEのそれぞれ1例で出血コントロール困難のため,開腹移行を行った.LPLD片側郭清での手術時間の中央値は149分であった.TPEは高度進行S状結腸癌,局所再発直腸癌,膣癌,肛門周囲蜂巣状軟部肉腫それぞれ1例に行い,手術時間および出血量の中央値はそれぞれ1025分,1128mlであった.(まとめ)内視鏡外科手術の進歩により骨盤内拡大手術に必要な外科解剖の理解が広く深まり,結果として安全で出血の少ない手術が可能となることを期待したい.
索引用語