セッション情報 ワークショップ4

消化器癌内視鏡外科手術の最先端

タイトル W4-7:

大腸癌同時性肝転移に対する腹腔鏡下一期的肝大腸切除術

演者 神山 俊哉(北海道大学消化器外科I)
共同演者 柿坂 達彦(北海道大学消化器外科I), 若山 顕治(北海道大学消化器外科I)
抄録 腹腔鏡手術は低侵襲で整容性にすぐれている.大腸癌同時性肝転移に対する腹腔鏡下一期的肝大腸切除を提示する.(症例1)70歳,女性.S状結腸に2型病変,肝S8/4,S8,S5/に肝転移を認めた.腹腔鏡補助下低位前方切除+肝部分切除術を施行した.臍,右季肋下に12mmを2本,5mmを1本挿入し,5cmの右季肋下に小切開を加え3か所の肝部分切除を施行した.小切開を閉鎖後,直腸切除を施行した.手術時間は6時間31分,出血量は230mlであった.(症例2)78歳,男性.RSに2型病変,肝S8に肝転移を認めた.腹腔鏡下ハルトマン手術,D3+肝部分切除術を施行した.臍,右下腹部,左下腹部ポートを挿入し直腸から左側横行結腸まで切除し,右季肋下に3本挿入し肝切除を施行した.手術時間は6時間3分,出血量は100mlであった.(症例3)33歳,女性.脾湾曲部横行結腸に2型病変を認めた.肝S7,S8,S2に転移を認めた.腹腔鏡下横行結腸切除+D2,肝部分切除術3か所を施行した.まず砕石位で臍,右下腹部2本,左下腹部2本のポートを挿入し横行結腸切除を施行し,次に体位を左半側臥位に変更し肝切除を行った.ポートはそのまま使用し,右肋弓下にポートを1本追加した.肝を脱転,クランプ鉗子で肝流入血行を遮断し,S7,S8,S2の順に行った.実質切離はハーモニックエース,DS3.0,リガシュアアドバンスを用いた.横行結腸切除,2時間3分,肝部分切除3時間16分,総手術時間6時間9分,出血量少量であった.(症例4)42歳,男性.直腸癌と肝Spiegel葉,S6,S7に肝転移を認めた.腹腔鏡下直腸切断術+Spiegel葉切除+肝部分切除術を施行した.左半側臥位でS7,S6部分切除を行った後,仰臥位でSpiegel葉切除を行い,その後,直腸切断術を施行した.手術時間は10時間24分,出血量は320mlであった.(まとめ)大腸癌と肝転移巣の位置で,ポート位置,体位変換の術前シミュレーションが重要で,腹腔鏡下一期的肝大腸切除術は低侵襲で有用である.
索引用語