セッション情報 |
ワークショップ4
消化器癌内視鏡外科手術の最先端
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タイトル |
W4-8:肝細胞癌に対する内視鏡下肝切除は腫瘍学からみて妥当な手術である―Propensity Score Matchingを用いた検討―
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演者 |
別府 透(熊本大学消化器癌集学的治療学) |
共同演者 |
林 洋光(熊本大学消化器外科学), 馬場 秀夫(熊本大学消化器外科学) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌に対する内視鏡下肝切除術(EH)の腫瘍学的意義を従来の開腹・開胸による肝切除(OH)と比較検討する.【対象と方法】EHを導入した1999年から2012年までに,区域切除以下の肝切除を行ったMilan基準内の肝細胞癌269例(EH 89例,OH 180例)を対象とした.Propensity score matchingで両群の背景因子を一致させた.【結果】1.各々57例が抽出され,ROC曲線下面積は0.804,P<0.001と背景因子のmatchingは極めて良好であった.2.初回治療の割合はEH 72%,OH 68%であり,系統的切除はEHで23%に,OHで26%に選択された.手術時間中央値はEH/OH:300分/339分(P<0.05),術中出血量中央値は125g/310g(P<0.001)と,EHで有意に低値であった.3.red cell concentrate(RCC),fresh frozen plasm投与頻度と術後合併症発生率に差を認めず,EHにおいてport-site再発や播種性再発などの内視鏡手術に特異度の高い合併症は皆無であった.4.術後在院日数は10日/13日と,EHで有意に短期間であった(P<0.001).5.5年累積無再発生存率(DFS)は35%/34%と同等であり,5年累積生存率(OS)は74%/68%,10年累積生存率は44%/61%と差はなく両群で極めて良好であった.6.多変量解析では,DFSの独立規定因子は年齢>68歳(hazard ratio:HR 1.92),RCC輸血有(HR 6.05),腫瘍径>26 mm(HR 2.14),複数腫瘍(HR 3.74),OSの独立規定因子は術後合併症有(HR 31.9),出血量>300g(HR 3.31),RCC輸血有(HR 95.2)であり,肝切除のアプローチ選択は有意な因子ではなかった.【結語】肝細胞癌に対する内視鏡下肝切除は腫瘍学から見て極めて妥当な手術である. |
索引用語 |
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