セッション情報 ワークショップ4

消化器癌内視鏡外科手術の最先端

タイトル W4-11:

腹腔鏡下膵切除術を標準化するための取り組みについて

演者 中村 慶春(日本医科大学消化器外科)
共同演者 松下 晃(日本医科大学消化器外科), 内田 英二(日本医科大学消化器外科)
抄録 【緒言】腹腔鏡下手術の標準化には,低侵襲性と実行性,根治性の3要素をバランスよく織り込む事が必要である.我々は現在までに腹腔鏡下膵切除術を172例に施行しその有益性について報告してきた.今回,悪性例に対する本術式の標準化を目指した手術手技と膵癌における根治性について検討した.【対象】術式別の内訳は,膵体尾部切除(Lap-DP)が118例,膵頭十二指腸切除(Lap-PD)が50例,核出が4例であった.172例中悪性疾患は66例(膵癌32例,胆道癌23例,転移性膵腫瘍6例,その他5例)で,Lap-PDを40例,Lap-DPを26例に施行した.【手術手技】悪性例に対する切除操作に関しては,神経叢・リンパ節郭清における術野展開に対するstrategyを確立し,手術時間と気腹などの影響への配慮が不可欠である.我々はlaparoscopic left mesentery spreading approachにより,SMA左側からリンパ節と膵頭神経叢2部の郭清およびIPDAの先行処理を行っている.また膵背側に付着するリンパ節や膵頭神経叢1部の郭清は,腹腔鏡独特の後方視野展開によって確実に行う事が可能である.そして胆管および膵離断後の胆汁,膵液飛散に伴う腫瘍細胞seedingの予防の為,胆道癌での胆管切離,膵癌での膵切離は切除の最終段階で行い,さらに膵は自動縫合器で切離し断端を閉鎖する工夫を行っている.膵腸吻合はそのqualityを確保する為,膵断端の直上に作製した標本摘出用の4-5cmの小切開創を利用し開腹術と同一の吻合を直視下に行っている.Lap-DPでは副腎摘除を含めた後腹膜組織の郭清手技の際,左肋弓が術野に掛かる開腹術よりも確実な術野展開が可能である.【結果】膵癌局所進展度は,Tis~T2:12例,T3・T4が20例であった.病期は0期3,1期6,2期3,3期14,4a期5,4b期1例で,郭清リンパ節は平均23(6-57)個,転移陽性率は31%であった.R0率は28/32(87.5%)で,在院死亡はなかった.【結語】今後は長期成績の実証に即し,開腹術との非劣性もしくは優位性を目指し,化学療法を含めたフォローアップを真摯に継続していく姿勢が重要である.
索引用語