セッション情報 ワークショップ5

SSA/Pと発癌―診断学の到達点

タイトル W5-1:

拡大内視鏡所見から見たSSA/P癌化例の検討

演者 青木 敬則(秋田赤十字病院消化器病センター)
共同演者 山野 泰穂(秋田赤十字病院消化器病センター), 田中 義人(秋田赤十字病院消化器病センター)
抄録 【背景】当センターでは,これまで拡大内視鏡観察で開II型pitを呈する病変が臨床病理学的にSSA/Pの特徴を有し,また分子生物学的にもBRAF変異,CIMP-highを示し,SSA/Pに矛盾しないことを報告してきた.一方,SSA/Pの癌化および治療適応に関しては明確なストラテジーは示されていない.
【目的】開II型pitに付随した表面微細構造を呈する病変における臨床病理および分子生物学的特徴を検討する.
【対象と方法】2009年4月から2012年7月までの期間に当センターで経験した適合病変のうち,病理学的および分子生物学的に解析可能であった16症例17病変を対象とした.対象病変に対して,表面微細構造ごとに遺伝子解析を行い,かつ病変全体を内視鏡的または外科的に切除し,病理評価を行った.病理組織診断は岩手医大分子診断病理,分子生物学的検討は札幌医大分子生物学講座に各々独立して依頼した.各病変の臨床的背景因子,拡大内視鏡所見に対応した部位での病理学的所見および分子生物学的解析結果を検討した.
【結果】対象症例の平均年齢は68歳であり,性差はM:F=6:10でやや女性に多かった.局在は右側結腸:左側結腸=14:3で右側結腸に多かった.病理組織像では,SSA/Pが併存する症例は14例であり,そのうちSSA/Pの癌化例は5例であった.癌化例は全例高分化腺癌であり,拡大所見もVI型もしくはVI+VN型pitを呈していた.また分子生物学的解析では,全例で拡大所見にかかわらずBRAF変異を示したが,メチル化に関しては開II型pit以外で高率であった.また癌化例においては,全例でMSIもしくはhMLH1陽性であった.
【結語】開II型と他のpitが併存する病変では,病理学的および分子生物学的にも前癌状態もしくは癌化している可能性があり,治療対象病変であることが示唆された.
索引用語