セッション情報 ワークショップ5

SSA/Pと発癌―診断学の到達点

タイトル W5-2:

SSA/Pの内視鏡的診断と治療に関する検討

演者 田中 秀典(広島市立安佐市民病院消化器内科)
共同演者 永田 信二(広島市立安佐市民病院内視鏡内科), 金子 真弓(広島市立安佐市民病院臨床検査部)
抄録 【目的】SSA/PとHPの,内視鏡所見および局在部位などから,両者の鑑別の可能性について検討する.また,SSA/Pの臨床病理学的特徴から内視鏡治療の適応について検討する.【方法】対象は2013年4月までに広島市立安佐市民病院において拡大内視鏡観察後に内視鏡的切除され,SSA/PあるいはHPと診断された211病変(SSA/P 155病変,HP 56病変).これらを用いて,部位,大きさ,肉眼型,粘液付着,pit pattern,NBI所見,VMV(varicose microvascular vessel)について検討した.また,SSA/Pと診断された155病変については,組織異型度を考慮し内視鏡治療適応についても検討した.【結果】SSA/Pは右側結腸(71.6%,111/155),HPは左側結腸(66.1%,37/56)に有意に多かった(p<0.05).SSA/PではHPと比較して,大きさ10mm以上,隆起型,粘液付着,開II型pit,VMVの所見が有意に多くみられた.また,SSA/Pと診断された155例について,組織異型度を高異型度群(高異型度腺腫~癌)と低異型度群(低異型度腺腫)に分類したところ,高異型度群は23例(うち癌は6例),低異型度群は132例であった.高異型度群の割合は,左側結腸に比して右側結腸でより高く(17.1% vs 9.1%),大きさ別では右側では-4mm:0%,5-9mm:14.8%,10-19mm:21.6%,20mm-:21.4%,左側では-4mm:0%,5-9mm:0%,10-19mm:14.3%,20mm-:40%であった.また,高異型度群では分葉状の形態を呈するものが有意に多くみられたが,肉眼型,粘液付着,pit pattern,NBI所見,VMVでは異型度に差はみられなかった.【結論】SSA/Pの内視鏡診断においては,10mm以上,隆起型,粘液付着,開II型pit,VMVの所見がHPとの鑑別に有用と思われた.また,内視鏡診断においてSSA/Pと診断した場合,右側結腸では5mm以上,左側結腸では10mm以上のものが内視鏡治療適応と考えられ,その中で分葉状の形態を呈するものは異型度が高かった.
索引用語