セッション情報 ワークショップ5

SSA/Pと発癌―診断学の到達点

タイトル W5-4:

大腸鋸歯状病変(Sessile serrated adenoma/polyp:SSA/P)に対するNarrow band imaging拡大観察を用いた内視鏡診断能についての前向き試験

演者 山階 武(大阪府立成人病センター消化管内科)
共同演者 竹内 洋司(大阪府立成人病センター消化管内科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター消化管内科)
抄録 【背景】大腸鋸歯状病変(以下SSA/P)はSerrated pathwayを介した発癌経路における前癌病変として内視鏡摘除の適応と認識されつつあるが,過形成性ポリープ(HP)との鑑別が問題となる.当院での後ろ向き研究ではNarrow band imaging拡大観察(M-NBI)における腺窩開口部の開大所見(ECO)と拡張した樹枝状血管所見(DBV)がSSA/Pの診断に有用であった.【目的】M-NBIのSSA/Pに対する診断能を前向きに検討する.【方法】内視鏡摘除予定の大腸ポリープを対象とし,NICE分類Type 1の病変の中でECOもしくはDBVを認めた病変をSSA/P,どちらも認めない病変をHPと診断した.対象病変は全て内視鏡摘除を行ない,摘除後病理所見と比較してM-NBIの診断能を検討した.【結果】期間中796病巣が前向きに登録され,NICE分類Type2,3であった666病巣,SMTの2病巣,組織回収不能の1病巣,判定不能の2病巣を除外した58名125病巣[平均年齢67歳,男女比45:13,大きさ中央値(範囲)5mm(2-18),部位:右半結腸77病巣,左半結腸/直腸48病巣]を対象とした.病理診断はSSA/P 51病巣(41%),HP 40病巣(32%),腺腫19病巣(15%),非腫瘍15病巣(12%)であった.M-NBIによるSSA/Pの診断能(感度,特異度,正診率)は(98%,59%,75%)であった.多変量解析では,M-NBIによる診断(ECOもしくはDBV),及び大きさ6mm以上が独立してSSA/Pに関連した因子であった.【結語】少数例での検討だがM-NBIはSSA/Pを診断できる可能性が示された.M-NBIでECOもしくはDBVを認める病変,もしくは6mm以上のNICE Type1病変は内視鏡摘除の適応となりうる.
索引用語