セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-1:

ダブルバルーン内視鏡(DBE)を用いた小腸疾患の診断と治療の有効性

演者 大宮 直木(藤田保健衛生大学消化管内科)
共同演者 中川 義仁(藤田保健衛生大学消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大学消化管内科)
抄録 【目的】バルーン内視鏡の登場により小腸疾患の診断,治療はめざましく進歩した.今回,DBEの診断・治療における有用性,偶発症について検討する.【方法】対象は2003年6月~2013年9月までに小腸の精査目的で(DBERC症例は除外),DBEを施行した1000例(男性617例・女性383例,年齢56±19歳,2-97歳,経口989件,経肛門1129件).【結果】検査契機の内訳は原因不明の消化管出血567例,小腸閉塞・イレウス166例,小腸腫瘍96例,腹痛・腹部膨満75例,クローン病33例,蛋白漏出性胃腸症29例,下痢・浮腫,体重減少27例,異物6例等.原因不明の消化管出血は352例(62%)が小腸出血と総合的に診断された.そのうち医原性・炎症性・感染性病変137例と最多で,次いで血管性病変121例,腫瘍性病変65例(悪性38例,良性27例),憩室29例.DBEは329例(93%)が診断可能.DBEで診断不能の24例は血管性病変6例,NSAID起因性小腸炎5例,原因不明小腸潰瘍4例,GIST2例等で,挿入困難,壁外発育病変,微細病変,治癒後が理由だった.初回診断不能でも再出血時にDBEを繰り返したことで,14例(血管性病変10例,非メッケル憩室3例,腺腫1例)で出血源が同定できた.DBE下治療は161例(46%)に施行.小腸閉塞・イレウスの内訳はクローン病46例,癒着34例,腫瘍27例,虚血性小腸炎16例,他の慢性炎症10例,NSAID起因性潰瘍6例,慢性偽性腸閉塞7例等.一過性虚血性小腸炎治癒後3例,クローン病1例,アニサキス症1例,悪性リンパ腫等8例(5%)は診断不能であった.DBE下バルーン拡張術は37例(器質的狭窄の32%)施行.小腸腫瘍/腫瘍性病変192例(悪性119例,良性73例)のうち,5例(2.6%)は診断不能であった.48例(悪性1例,良性47例;25%)は内視鏡摘除施行.偶発症は誤嚥性肺炎9例10件(0.9%,経口1%),穿孔18例18件(1.8%,0.8%),急性膵炎3例3件(0.3%,0.1%)認められた.【結論】各種小腸疾患の診断・治療におけるDBEの診断能の高さ,内視鏡下治療の有用性が示されたが,偶発症への対策が必要である.
索引用語