セッション情報 |
ワークショップ7
バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点
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タイトル |
W7-3:挿入困難例に対するダブルバルーン大腸内視鏡検査の位置づけ
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演者 |
根本 大樹(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科) |
共同演者 |
歌野 健一(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科), 冨樫 一智(福島県立医科大学会津医療センター小腸大腸肛門科) |
抄録 |
【目的】ダブルバルーン大腸内視鏡検査(DBC)は,内視鏡挿入困難例に対して有効であることが報告されている.しかし,ダブルバルーン小腸鏡(DBE)の経験がない内視鏡医でも活用できることを示した報告は文献上ない.当施設では,2010年9月にDBEを導入以降,同時に,大腸内視鏡挿入困難例に対してDBCを行ってきたので,その経験を報告する.【方法】2010年9月から2013年9月までの期間に,大腸鏡挿入困難例のため他院より紹介を受けた66名と当院で挿入困難であった11名を対象とした.全77名の性別は男41・女36,年令中央値74歳,最少35歳,最高88歳であった.DBCはDBEの経験のない医師5名が行ったが,その多くは,後期研修医1名(2011年6月時点:卒後3年目,大腸内視鏡経験数46例,盲腸到達率約70%;DBE介助経験数8例)が担当した.当初は,小腸用処置スコープ(EN-450T5/W)を用い,レントゲン透視下に行った.DBCに習熟した2012年10月以降は,下部消化管・十二指腸用スコープ(EI-530B)を使用して非透視下に行った.なお,炭酸ガスの送気装置を全例で併用した.原則として検査直前にオピスタンを静脈内投与した.盲腸到達率・盲腸到達時間・オピスタンの投与量・合併症の有無を指標として検討した.28例においては,検査中の苦痛度をvisual analogue scale(VAS)により10段階で評価した.【成績】全例で盲腸へ到達し,到達時間は,中央値15.8分,最短3.0分,最長66.1分であり,症例を重ねるに従い短縮された.オピスタン追加投与例はなく,検査後の合併症は生じなかった.苦痛度は,VAS中央値2.5/10,最小0/10,最大10/10であった.前回検査との比較では,ほぼ全例で苦痛度は軽減した.【結論】DBE経験のない非熟練者がDBCを行った場合でも,挿入困難の全例で盲腸への到達が可能であり,しかも苦痛度が低かった.したがって,DBCは“だれもが大腸内視鏡挿入困難例を克服できるツール”として位置づけられる. |
索引用語 |
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