セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-4:

クローン病小腸狭窄に対するバルーン拡張術の予後とその合併症

演者 山田 弘志(名古屋大学大学院医学研究科消化器内科学)
共同演者 中村 正直(名古屋大学大学院医学研究科消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学研究科消化器内科学)
抄録 【目的】クローン病の小腸狭窄に対するダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)下バルーン拡張術(EBD)の予後とその合併症について検討した.【方法】2003年6月~2012年12月までに当院にてDBEを施行したクローン病でEBDを施行した32例.EBD後の予後,累積非症状再燃率,累積非手術率について検討した.また各種項目の有無でもカプランマイヤー,ログランク検定で累積非症状再燃率,累積非手術率について解析した.また拡張した延べ病変での成功率,不成功例の内容を検討した.【結果】DBE下EBD後の予後は中央値23ヶ月(0~105ヶ月)の観察期間において,累積非症状再燃率は12ヶ月で67%,36ヶ月で31%,48ヶ月で24%であった.累積非手術率は12ヶ月で80%,36ヶ月で65%,48ヶ月で63%であった.累積非手術率では手術歴が2回未満であると有意に手術を回避できていた(P=0.038).狭窄長は15mm未満であるとEBD後,手術を回避し経過良好であった(P=0.030).また抗TNFα抗体製剤投与あり(P=0.000003),非穿孔型(P=0.008)でもあると有意に手術を回避していた.32人中延べ拡張病変数は108病変で短期成功率は,96.3%(104/108)であった.不成功となった原因は穿孔,拡張不全,完全狭窄があげられる.【結論】クローン病に対するDBE下EBDは繰り返すことで手術を回避するのに有効であった.EBD後で外科手術の回避を規定する因子は抗TNFα抗体製剤を投与していること,手術歴2回未満であること,穿孔型でないこと,狭窄長が15mm未満であることであった.EBDの有害事象は比較的低率であった.
索引用語