セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-5:

クローン病の小腸評価におけるシングルバルーン内視鏡の有効性

演者 竹中 健人(東京医科歯科大学消化器内科)
共同演者 大塚 和朗(東京医科歯科大学消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科)
抄録 【目的】クローン病(CD)において小腸評価は必須であり,びらんや潰瘍等の活動性病変に加え狭窄や瘻孔といったdamage lesionの評価も重要である.欧米では小腸評価にCTやMRが用いられ,我々はMREC(MR enterocolonography)にて小腸と大腸を同時に評価できる方法を開発している.さらに病変の精査および狭窄拡張のため,CDに対して積極的にシングルバルーン内視鏡(SBE)を施行している.今回,CDの小腸病変に対するSBEの有効性を検討した.
【方法】2012年5月から2013年9月までにMRECとSBEを同日に施行されたCD患者67名を対象とした.小腸を回盲弁からの距離により回腸末端(20cmまで)・深部回腸(20-300cm)・空腸(300cm以深)に分け,活動性病変とdamage lesionそれぞれを評価した.内視鏡の評価にはSES-CDを応用し,活動性病変のうち「潰瘍の大きさ」「潰瘍面積」「病変面積」の各スコア(0~3)の合計が5以上である病変をMajor lesionと定義した.内視鏡およびMRの評価は独立に行い,MRにて病変を指摘できるかについても検討した.
【結果】SBEは一人法にて経肛門的に挿入し,深部回腸・空腸・胃へそれぞれ67名(97%)・26名(39%)・8名(12%)が到達した.挿入距離の中央値は回盲弁より240cmであった.狭窄拡張は16名に対して施行された.また45名(67.1%)は外来でSBEが行われたが,合併症は認めなかった.活動性病変はMajor lesionを59領域で認め,その内47領域(80%)がMRでも指摘できた.全活動性病変は83領域で認め,その内55領域(66%)がMRでも指摘できた.一方,damage lesionでは狭窄が,MRでは10領域に,SBEでは32領域に指摘された.特に内視鏡の通過しない狭窄は,MRでは4領域に,SBEでは10領域に指摘された.内瘻は5名に認めSBEとMR双方で確認できた.
【結論】MRで指摘された病変はほぼSBEで確認でき,外来でCD病変を詳細に観察できる.また軽度の狭窄は治療も可能である.バルーン内視鏡はCD評価のスタンダードになりうる.
索引用語