セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-7:

大腸内視鏡挿入困難例に発生した大腸腫瘍に対するダブルバルーン式内視鏡を用いたESD手技

演者 勝木 伸一(小樽掖済会病院)
共同演者 北岡 慶介(小樽掖済会病院), 藤田 朋紀(小樽掖済会病院)
抄録 【はじめに】大腸粘膜下層切開剥離術(以下大腸ESD)が難しい手技とされる理由のひとつに,腸管走行の多様性があげられる.さらに,腹部手術の既往がある場合,癒着の存在や腸管の位置変化などによって内視鏡の挿入自体が不可能になる場合もある.また,やっと病変にたどりついたとしても,時間が経つにつれて,蠕動や送気により,腸管が変形し,剥離が難しくなることもしばしば経験される.一方,ダブルバルーン式内視鏡(以下DBE)は,小腸のみならず大腸病変の診断や治療においてもその有用性が報告されている.当院では,DBEを用いたESD(以下DBE―ESD)を2004年より導入,これまでその有用性を発表してきた.【目的】挿入困難例に対するDBE-ESDの有用性を検討する.【対象と方法】当院でこれまで施行した大腸ESD711病変のうちDBE-ESDを施行した98病変を対象とした.検討項目は,DBE使用理由,用いた機種,病変到達率,ESD完遂率,断端陰性率,治療時間,穿孔率とした.【結果】DBE使用理由は,腸管過長51,癒着26,内視鏡安定保持困難31(重複あり)であった.DBEを最初から使用した病変は84,通常内視鏡で開始し,ESD途中でDBEに変更した病変は,14であった.使用機種は,3病変が,EN-450T5(有効長200cm),79病変がEC450BI5(有効長152cm),16病変がEI530B(有効長152cm)であった.病変到達率は,100%(98/98),ESD完遂率98.0%(96/98),断端陰性率99.0%(97/98),平均治療時間61.4分(12~181),穿孔率0%(0/98)であった.【結論】DBE-ESDは,そもそも,通常内視鏡で施行困難とされた病変に対して行なわれたにも関わらず,その結果は,良好であった.
索引用語