セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-8:

ダブルバルーン内視鏡を使用すれば近位大腸のESD困難症例も克服できる

演者 井野 裕治(自治医科大学内科学講座消化器内科学部門)
共同演者 林 芳和(自治医科大学内科学講座消化器内科学部門), 山本 博徳(自治医科大学内科学講座消化器内科学部門)
抄録 【目的】大腸ESDは胃や食道と比較すると難易度が高いと言われている.その理由の1つとして,大腸は長い管腔臓器であり,S状結腸や横行結腸が固定されていないことから,近位大腸では内視鏡の操作性が不安定になりやすいことが挙げられる.ダブルバルーン内視鏡(DBE)は元来小腸の観察・治療を目的として開発されたが,そのバルーン付きオーバーチューブで腸管の撓みやループを抑制することで,特に近位大腸のESD時の内視鏡の操作性を安定させることが可能である.今回当院での経験をもとに,その有用性を明らかにする.【方法】近位大腸のESD時に挿入不可または内視鏡操作性が不安定であったため,DBEを使用した群と,操作性に問題がなく通常内視鏡で治療した群の治療成績の比較を行う.【結果】2003年9月から2013年6月の期間に行った大腸ESD850病変中,近位大腸の病変は430病変であった.このうち68病変にDBEを用いたESDを行った.病変のサイズは平均で長径35.1±22.3 mmであり,最終的にスネアを用いて切除した例は9例であった.スネア症例を除いた剥離速度は18.3±11.2 mm2/分であった.(切除標本を類似円として,その長径×短径×π÷4を標本面積として計算した.)偶発症として穿孔を1例に認めた.これに対し,通常の処置用内視鏡のみでESDを行った症例は362病変であった.平均病変サイズは長径32.9±15.2 mm,最終的にスネアを用いた例は40例であった.1分あたりの平均剥離速度は19.4±13.7 mm2/分であった.穿孔数は18例であった.【結論】近位大腸において操作性が不良な症例でもDBEを用いれば,操作性が良い症例と同等の治療成績を得ることが可能である.当院におけるDBEを用いたESD時の工夫や,特に有用であった症例も併せて報告する.
索引用語