セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-9:

当院での術後腸管におけるバルーン内視鏡併用下ERCの現状

演者 加藤 邦洋(大阪市立大学消化器内科学)
共同演者 杉森 聖司(大阪市立大学消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学消化器内科学)
抄録 【背景】Roux-en-Y再建例などの消化管再建術後症例では乳頭部への到達および胆膵領域の精査や治療が困難とされてきたが,バルーン内視鏡の登場によりそれらが可能となった.しかしながら依然として術後腸管におけるERCP関連手技は難易度が高く,手技を行っている施設も少ない.【目的】バルーン内視鏡を用いたERCについて当院における現状を評価し課題を明らかにする.【対象と方法】当院で2008年7月から2013年6月までに術後腸管に対してバルーン内視鏡(FUJI FILM社EC-450BI5)を用いて検査ないしは治療を行った87例(Roux-en-Y 52例,胆管空腸吻合35例)を対象とした.観察項目は乳頭到達時間,カニュレーション時間,手技全体の時間,手技の完遂の有無,透視上でのスコープの形状で,それぞれの関連性について検討した.【結果】Roux-en-Y症例では乳頭到達率は88.4%,手技完遂率71.1%に対して胆管空腸吻合例では乳頭到達率は85.7%,手技完遂率77.1%であった.胆管へのカニュレーション時間がそれぞれ23.6分と10.2分と差を認めた.Roux-en-Y症例では透視上でスコープがループを描いたまま胆管へカニュレーションした時の手技完遂率は69%であり平均カニュレーション時間は27.3分であったのに対して,スコープを直線化した時の手技完遂率は78%であり平均カニュレーション時間は20.5分であった.【結語】胆管空腸吻合に比べRoux-en-Y症例では胆管へのカニュレーションに時間を取り手技完遂率も低い.Roux-en-Y症例では挿入の際スコープを直線化させると胆管へのカニュレーション時間を短縮させ手技が安定する可能性が示唆された.
索引用語