セッション情報 ワークショップ7

バルーン内視鏡による消化器疾患診断と治療の到達点

タイトル W7-11:

胆管空腸吻合を有する肝内結石に対するダブルバルーン内視鏡治療の現状と到達点

演者 堤 康一郎(岡山大学病院消化器内科)
共同演者 加藤 博也(岡山大学病院消化器内科), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科)
抄録 【目的】胆管空腸吻合を有する肝内結石に対するダブルバルーン内視鏡(DBE)下截石術の成績を明らかにするとともに,肝内結石に対する治療戦略について考察する.【方法】対象は2008年8月から2013年2月に,当院でDBE下截石術を試みた胆管空腸吻合を有する肝内結石43例.うち3例はDBE導入前に肝内結石に対する経皮的截石術の既往があった.再建術式は,Roux-en Y再建(R群)14例,膵頭十二指腸切除(PD群)25例,その他4例.スコープはshort type DBE(EC450-BI5;Fujifilm社)を使用し,吻合部に到達後,吻合部狭窄合併例ではバルーンによる吻合部拡張を行い,retrieval balloonや砕石具での截石を基本とした.1)吻合部到達率,造影率,2)初回截石完遂率,3)合併症,4)初回截石不成功例であった理由と治療法,5)経皮的截石治療歴のある3例について検討した.【結果】1)88%(38/43)(R/PD/その他=71%/100%/75%).2)65%(28/43)(R/PD/その他=68%/57%/75%).3)9%(4/43).胆管炎3例,挙上脚浮腫を伴う腹痛,発熱1例.4)初回截石完遂困難な理由は,結石残存10例,吻合部到達困難5例であった.結石残存の5例は10ヶ以上の結石多数例であり,また5例は後日施行したENBDチューブ造影あるいは極細径内視鏡による胆管内観察で判明した.残石に対する治療は8例で平均2.3回(1-5)のDBE下截石追加にて完遂し,結石嵌頓1例はESWL併用にて完遂,また担癌患者1例はEBS留置にて経過観察とした.一方,到達困難の4例(80%)はR群であり,全例経皮的に截石完遂した.5)DBE下截石は2例(66%)で成功し,session数(PTBD含む)と入院期間中央値はDBE vs.既往の経皮で,1回vs.5回(4-5),4日(3-4)vs.23日(16-30)であった.不成功1例は到達困難のため経皮的に截石した.【結論】胆管空腸吻合を有する肝内結石に対する截石術は,DBE下に低侵襲かつ短期間で高率に施行可能である.しかし困難例も存在するため,ESWLや経皮的截石術を組み合わせた治療戦略が必要である.
索引用語