セッション情報 |
ワークショップ8
B型肝炎抗ウイルス療法の進歩と課題
|
タイトル |
W8-2:B型慢性肝疾患高ウイルス量に対するEntecavirの抗ウイルス効果の検討
|
演者 |
小関 至(札幌厚生病院第3消化器科) |
共同演者 |
髭 修平(札幌厚生病院第3消化器科), 狩野 吉康(札幌厚生病院第3消化器科) |
抄録 |
【目的】治療前HBV DNA高値例に対するEntecavir(ETV)の抗ウイルス効果を検討し,高ウイルス群を対象としたPeg-IFNとETV併用療法の治療成績を示す.【対象と方法】当院でTaqMan-PCR法導入後(08年以降),ETVを初回導入し,1年以上投与できた250例中,治療前HBV DNA 8log以上(=高ウイルス群)の49例と8log未満の241例のDNA陰性化率の比較を行い,次に,治療不応例,ウイルス学的ブレイクスルー(VBT)の症例の頻度と特徴を検討した.また,高ウイルス5例を対象とした,Peg-IFNとETV併用療法の中間成績を示した.ETV投与1年後にHBV DNA 5log以上を不応,nadirから1log以上上昇をVBT,HBV DNA2.1log未満をDNA陰性と定義した.【結果】1)治療開始1/2/3年時のDNA陰性化率は,高ウイルス群で51%/71%/83%,8log未満で,90%/96%/94%と高ウイルス群で低率であった.2)ETV不応例,VBT例は,それぞれ3例で,計6例(12%)であった.これら6例は,全例,HBe抗原陽性,遺伝子型C型,高ウイルス量であり,不応例3例はETV投与1年の時点で,2例はTenofovir(TDF),1例はAdefovir(ADV)とETV併用療法(A+E)を行い,TDF投与例ではDNA陰性化が得られた.なお,不応例では薬剤耐性は検出されなかった.VBTの3例は,ETV開始1年時でDNA陰性化が得られず,VBT出現時期/ETV耐性部位は,それぞれ,13ヶ月/rtS202G,52か月/rtT184A+rtS202G,45ヶ月/検索中で,治療は,TDF,A+E,ETV継続で,TDF投与例でDNA陰性化が得られた.3)Peg-IFNとETV併用投与5例のHBe抗原量(S/CO)は,治療6ヶ月の時点で530→5.7,731→1.6,1367→7.1,866→3.5,3.8→2.3と5例中4例で著明な低下を認め,1例でHBs抗原(IU/ml)が85830→158と著明に低下した.HBV DNAは2例で陰性,3例で,2.2~2.5 logであった.【結語】高ウイルス群では,HBV DNA陰性化率は低率であり,不応例,VBTをそれぞれ,3例で認めた. |
索引用語 |
|