セッション情報 |
ワークショップ8
B型肝炎抗ウイルス療法の進歩と課題
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タイトル |
W8-5:B型慢性肝炎に対するペグインターフェロン療法の治療効果に関連する遺伝要因
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演者 |
松居 剛志(手稲渓仁会病院消化器病センター) |
共同演者 |
姜 貞憲(手稲渓仁会病院消化器病センター), 田中 靖人(名古屋市立大学大学院病態医科学) |
抄録 |
【目的】近年,肝炎ウイルス排除には宿主因子が大きく関連していることが明らかとなった.今回,CHB未治療例においてIL28BやHLA-DP SNPsがPegIFNの早期治療効果及びその後の治療効果に関連するか検討した.【方法】対象は2007年から2013年までにCHB未治療例に対しPegIFNα2a投与を施行した24例.これらをIL28B(rs8099917)でTT群とTG群に分け,治療早期(12週)での評価を行い,またこれらと治療終了時の効果判定との関係を検討した.更にHLA-DP SNPs(rs3077/rs9277378)についても検討した.【成績】対象は男女比12:12で,年齢34歳,HBeAg +/- 17/7,genotype A/B/C 1/2/21,BCP W/M 13/11,PC W/M 9/50,HLA-DPはGG/GG 13例,GG/GA 4例,GA/GA 7例であり,治療開始時のALT115.0IU/l,DNA7.7log copies/ml,HBsAg3.9 log IU/mL,HBcrAg6.1logU/ml,IP10 219.8pg/mLであった.また,IL28BはTT 19例,TG5例であった.有意な差はないものの,TT群はALTが97.7IU/L(TG群180.8IU/L)と低く,IP10は196.9pg/ml(TG群306.6pg/ml)と高値であった.治療開始時7.0log copies/ml未満の8症例では,治療12週で7例が4.0log copies/ml未満(virological response:VR)となった.また,治療開始時に7.0logcopeis/ml以上の15例では12週で5例VRとなり,これらは全例TT群でHBcrAgが5.8logU/mlと非VR(6.9log copies/ml)と比し低値であり,IP10は271.8pg/mlと高値であった(非VR 195.4pg/ml).これら12週でVRとなった例は治療終了時までVRが持続した.HBsAgは12週で1.0log IU/ml以上減少した症例は5例であり,これらも全例TT群であった.治療終了時に急激な上昇を認めることなく,良好な経過をたどっている.一方,今回の検討ではHLA-DP SNPsと治療効果に有意な関連性は見られなかった.【結論】高ウイルス量CHB未治療例に対するPegIFN療法において,IL28B SNPは12週での早期治療効果に関連し,治療終了時点での効果予測に重要な因子と考えられた. |
索引用語 |
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