セッション情報 ワークショップ8

B型肝炎抗ウイルス療法の進歩と課題

タイトル W8-8:

長期投与の核酸アナログ製剤中止時のPEG-IFNα2a療法の有用性の検討

演者 齋藤 正紀(兵庫医科大学内科学肝胆膵科)
共同演者 榎本 平之(兵庫医科大学内科学肝胆膵科), 西口 修平(兵庫医科大学内科学肝胆膵科)
抄録 【目的】B型慢性肝炎の治療は核酸アナログ製剤によるHBV DNAの持続的低値と肝機能の安定化から,Drug freeやHBs抗原の陰性化を目指す治療指針へ転換しているが,未だ確立された治療法はない.しかしHBs抗原定量とHBコア関連抗原測定法の進歩により核酸アナログ製剤の中止基準が示され,今回,長期投与された核酸アナログ製剤のDrug freeを目的として核酸アナログ製剤中止時のPEG-IFNα2a療法を前向き研究として行い,その有用性を検討した.【方法】同意が得られた当施設の核酸アナログ長期投与患者50症例に対して,核酸アナログ製剤を中止し併用期間を設けることなくPEG-IFNα2a 180μg週1回投与に切り替えた.主要評価項目はIFN治療終了後の臨床的安定化(Drug free)であり,ALT 30 IU/L以下,HBV DNA 4.0 log copies/ml未満を基準とした.副次評価項目は中止基準(低/中/高リスク)による評価とHBs抗原定量の推移である.【成績】PEG-IFNα2a投与前の年齢43歳(最小-最大;26-74),核酸アナログ投与期間4.2年(1.2-11.3),HBe抗原(+/-)19/30,HBV DNA 2.1 log copies/ml(2.1-4.8),ALT 21 IU/L(6-80),HBs抗原量1870.0 IU/ml(25.2-27791.2),HBコア関連抗原4.7 log IU/ml(3.0-6.8)であった.Drug free基準による評価はPEG-IFNα2a投与前36/42(85.7%),48W投与終了時6/19(31.6%),投与終了後24W 4/8(50.0%)であった.中止基準による評価は,投与前0.0/19.0/81.0%,48W投与終了時5.3/68.4/26.3%,投与終了後24Wは12.5/37.5/50.0%と,PEG-IFNα2a投与後は投与前と比し高リスク群の減少を認めた.またPEG-IFNα2a 48W投与中,16/19(84.2%)症例でHBs抗原の低下を認め,投与中と投与終了後に1症例ずつ陰性化した.【考案】核酸アナログ製剤長期投与例に対するPEG-IFNα2a療法は,投与終了時に中止基準スコアが向上し,再燃リスクの低減により投与終了後24W時点で50%のDrug freeを認めた.また19症例中2症例でHBs抗原の陰性化を認め,HBs抗原消失を目指した治療法となる可能性も示唆された.
索引用語