セッション情報 |
ワークショップ8
B型肝炎抗ウイルス療法の進歩と課題
|
タイトル |
W8-11:核酸アナログ投与例におけるHBVコア関連抗原と肝発癌の意義
|
演者 |
本多 政夫(金沢大学消化器内科) |
共同演者 |
寺島 健志(金沢大学消化器内科), 金子 周一(金沢大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】B型慢性肝炎症例に対する核酸アナログ投与により,HBV-DNAの持続的陰性化やe抗原の持続的陰性化が得られるようになった.しかしながら,核酸アナログ投与例においても肝発癌を十分に抑制することは出来ず,肝内に残存するcccDNAが肝発癌の要因となっていることが示唆される.今回,核酸アナログ投与に伴う,HBVコア関連抗原と肝発癌との関連を検討した.【方法】当科において核酸アナログを投与されたB型慢性肝炎359中,経過観察が可能であった178例を対象とした.HBV各種血清マーカーに加え,血中HBV-DNA量,HBVゲノタイプ,HBVコア関連抗原を測定した.肝組織cccDNAはPlasmid-Safe DNase処理により,一本鎖DNAを除去後,不完全領域を含む領域が増幅されるプライマーを設定してリアルタイムPCRを行った.【成績】核酸アナログの内訳はETV:120例(内16例はLAMからの切り替え),LAM+AD:48例,LAM単独:9例であった.核酸アナログ投与期間は平均5.6年であった.HBVゲノタイプは86%がゲノタイプC,14%はゲノタイプBであった.核酸アナログ服用に伴い,血中HBV-DNAの陰性化は87%にみられ,陰性化がみられない症例でも3-log以上のウイルス量の低下を認めた.一方,HBs抗原(定性法)は80%の症例で不変(>2000IU/ml)であり,15%の症例で低下し5%(9例)の症例において陰性化を認めた.HBVコア関連抗原が測定された130症例中32%(42/130)で陰性化がみられ,68%(88/130)の症例で陽性であった.HBVコア関連抗原陽性の肝組織においてcccDNAを検出した.核酸アナログ服用中,HCCの合併は19%(34例)に認められた.HCC合併例のうちHBVコア関連抗原は53%(18/34)に陽性であり,肝癌非合併例のコア関連抗原陽性率33%(33/99)に比べ有意に高率であった.【結論】核酸アナログ投与により,血中のHBV-DNAは消失するが,半数以上の症例で肝内のcccDNAは残存し,肝発癌の要因となっていることが示唆された. |
索引用語 |
|