セッション情報 |
ワークショップ9
NAFLD/NASHにおける新知見と治療法の進歩
|
タイトル |
W9-2:CGMSから見たNAFLDとC型慢性肝炎の耐糖能異常の特徴と比較検討
|
演者 |
小野 正文(高知大学消化器内科学) |
共同演者 |
川口 巧(久留米大学内科学講座消化器内科部門), 西原 利治(高知大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】肝臓は糖代謝に重要な役割を果たしており肝障害の進行とともに耐糖能異常が顕著化するとされる.これまで我々は,NAFLDの耐糖能異常の特徴として血糖の日内変動と肝線維化進展とが強い関連を有していることを報告してきた.今回,耐糖能異常の特徴についてC型慢性肝炎と比較検討を行ったので報告する.【方法】高知大学および久留米大学においてCGMS(24時間血糖測定)を行ったNAFLD 30名と,C型慢性肝炎および肝硬変(C-CH)37名について血液生化学検査およびCGMSの各項目を比較検討し,それぞれの疾患における耐糖能の特徴について検討を行った.【成績】両群の血液生化学検査を比較すると,メタボリック症候群の合併を反映しBMI,T-cho,TGなどはNAFLD群の方が高く,肝予備能の低下を反映しC-CH群がTP,Alb,Pltは低く,PT(INR)はより高値であった.一方,FBSはC-CH群が高く耐糖能異常の悪化が高度である反面,空腹時インスリン値は低くインスリン抵抗性は弱かった.次に,CGMSの各項目を比較検討すると,24時間の平均血糖値や最低血糖値は両群間で有意差はなく,最高血糖値,および血糖の変動を示すΔ最高―最低血糖値,標準偏差などはNAFLD群が有意に高値であった.さらに,線維化進展との関連では,Δ最高―最低血糖値と血小板数および線維化マーカーとの相関関係では,NAFLD群では明らかな相関を認めたが,C-CH群では一定の傾向を認めなかった.【結論】両群とも肝機能の悪化に伴い耐糖能は悪化の傾向であった.NAFLD群ではこれまでの報告の通り,線維化進展に伴って血糖の日内変動が大きくなる傾向にあるが,C-CH群では一定の傾向を示さず,個々の患者によって耐糖能異常のパターンは様々であった.慢性肝疾患に伴う耐糖能異常において,NAFLDとC-CHではパターンが異なっており治療法にも違いが必要であると思われる.NAFLDにおいてはインスリン抵抗性を改善することとともに,血糖変動の抑制を意識した治療法が良いと考えられる. |
索引用語 |
|