セッション情報 ワークショップ9

NAFLD/NASHにおける新知見と治療法の進歩

タイトル W9-4:

NAFLD治療におけるレジスタンス運動療法

演者 高橋 敦史(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学)
共同演者 阿部 和道(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学), 大平 弘正(福島県立医科大学消化器・リウマチ膠原病内科学)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)において,近年レジスタンス運動の効果が報告され注目されている.今回,NAFLD患者でのレジスタンス運動効果の検証を目的とした.【方法】NAFLD患者28名(男8,女20,平均年齢56.7歳,平均BMI28.3)を対象とし,レジスタンス運動を毎週3回実施.運動はスクワットとプッシュアップの2種類.1セットは各運動10回ずつで合計3セットを1回とし,休憩を含め所要時間は20-30分.運動前,3,6か月後で血液検査,肝脂肪,体組成を評価.肝脂肪は腹部超音波装置で1(軽度)~3(高度)の3段階で評価し,運動実施率(自己記録)も評価した.【成績】運動実施率は3か月後70.6%,6か月後71.7%で年齢,性別,BMI,合併疾患の患者背景と有意な相関はなく,運動による有害事象も認めなかった.BMI,筋肉重量は運動前後で変化はなかったが,体重あたりの筋重量の比率は運動前,3,6か月後で59.1±7.1,59.6±6.7,59.9±6.8と運動前と比べ3か月以降有意な上昇を認めた.一方,脂肪量は26.4±6.2,25.8±5.7,26.3±6.8 kgで3か月後に運動前より有意に低下したが,6か月後は再増加を認めた.血液検査は運動前,3,6か月後で,ALT(76.9±63.4,56.3±51.3,59.3±49.2 IU/L),インスリン(13.6±8.4,11.2±4.5,11.1±4.6 μU/mL),フェリチン(213.0±207.8,184.5±215.5,141.1±110.9 ng/mL),HOMA-IR(4.0±2.9,3.2±1.5,3.1±1.6)が治療前と比べ3か月後から有意に低下し,6か月後でもほぼ改善の状態が維持され,肝脂肪も1.8±0.8,1.6±0.7,1.5±0.7で同様の結果であった.【結論】レジスタンス運動はNAFLD患者に有効である.さらに,プッシュアップとスクワットは簡便で安全なレジスタンス運動であり,継続性及び運動効果の維持においても有効であることが示唆され,我々の運動プログラムはNAFLD患者において運動療法の一角となりうると考えられた.
索引用語