セッション情報 ワークショップ9

NAFLD/NASHにおける新知見と治療法の進歩

タイトル W9-8:

肥満に伴う非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の発症における脾臓由来IL-10の役割

演者 所 征範(大分大学消化器内科)
共同演者 後藤 孔郎(大分大学消化器内科), 清家 正隆(大分大学消化器内科)
抄録 【目的】非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は,メタボリックシンドロームの肝臓における表現型と考えられているが,発症のメカニズムは十分に解明されていない.これまで我々は,肥満により脾臓からのIL-10合成能が低下していることを明らかにした.今回,肥満による肝臓内の脂肪蓄積や慢性炎症における,脾臓由来IL-10の役割について検討する.【方法】1)食餌誘導性肥満モデルマウスと通常マウス間で,末梢血中の破砕赤血球の割合を用いた脾臓のフィルタリング機能および脾臓由来のサイトカイン発現量,脾臓内の酸化ストレスやアポトーシスの検討により,脾臓の機能を評価した.2)雄野生マウスをSham群,脾臓摘出群(SPX)群に分け,肝臓内の脂肪蓄積およびマクロファージの浸潤や炎症性サイトカインの発現の違いを評価した.3)食餌誘導性肥満モデルの野生マウスを,Sham群,SPX群,SPX+IL-10慢性補充群,さらに通常マウスの4群間で,それぞれ肝臓内の脂肪蓄積,炎症の程度,肝機能を評価した.4)IL-10欠損マウス(IL-10KO)の肥満モデルを,Sham群,SPX群,SPX+IL-10補充群に分け,上記同様に評価した.【結果】1)肥満マウスでは,破砕赤血球が増加し,脾臓内で酸化ストレスを伴ったアポトーシスの亢進や,脾臓からのIL-10分泌能の低下がみられた.2)SPXにより,肝臓内の脂肪蓄積や炎症性反応の亢進がみられた.3)肥満による肝臓内の脂肪蓄積や炎症性病変,肝機能悪化がSPXによりさらに増悪させた.さらに,このような変化はIL-10の慢性補充により改善された.4)IL-10KOでは,野生マウスでみられたようなSPXによる肝臓内の脂肪蓄積,肝機能悪化の増悪は認められなかったが,IL-10の補充により,野生マウスと同様に脂肪蓄積や炎症性病変は改善した.【総括】肥満により脾臓でのIL-10合成能が低下して,肝臓の脂肪化および炎症性変化がもたらされることが推測された.
索引用語