セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-1:

ペグインターフェロン+リバビリン+テラプレビル3剤併用療法の難治要因に関する検討

演者 本田 浩一(大分大学医学部消化器内科)
共同演者 清家 正隆(大分大学医学部消化器内科), 山下 勉(大分医療センター消化器内科)
抄録 (目的)テラプレビル(TVR)併用療法が保険適用となり,治療成績は大きく向上した.しかし,一部に難治症例が存在するため,その要因について検討した.(方法)3剤併用療法を導入した37症例のうち,SVR判定のできた28名について解析を行った.対象は男性12名,女性16名,平均年齢63.5歳(60歳未満11名,60-69歳8名,70歳以上9名),初回13名,再治療15名(再燃12名,無効3名),IL28b TT18名,TG5名,不明5名.TVR初回投与量は,70歳未満では1500mg 14名,2250mg 5名,70歳以上では1000mg 8名,1500mg 1名であった.(結果)中止症例は5例であり,中止理由はIFN網膜症1例(52歳),grade 3皮疹1例(62歳),血小板数減少1例(74歳),気管支肺炎1例(75歳),一過性脳虚血1例(81歳)であった.治療効果は,RVR率85.7%(24/28),ETR率92.9%(26/28),SVR率85.7%(24/28)であった.SVR例と非SVR例の比較では,治療中止の有無[中止なし95.7%(22/23),中止あり40.0%(2/5),p=0.001],8週以内治療中止[中止あり0%(0/3),中止なし96%(24/25),p=0.001],年齢[70歳未満100%(19/19),70歳以上55.6%(5/9),p=0.006],12週目IFNアドヒアランス[70%未満0%(0/4),70%以上100%(24/24),p=0.000],12週目TVRアドヒアランス[60%未満0%(0/3),60%以上96.0%(24/25),p=0.001]という因子で有意差を認めた.非SVRの4症例は全て70歳以上であり,3例は早期治療中止が,1例はIFN減量が非SVRの原因と考えられた.70歳以上でTVRを1000mgで開始した治療完遂症例は全例(5/5)SVRが獲得できた.(結論)治療完遂例のSVR率は非常に高率であったが,超高齢者(70歳以上)では早期中止例が多くSVR率が低かった.しかし,超高齢者におけるTVR1000mg減量投与治療完遂例の治療効果は非常に高かった.治療完遂,IFNアドヒアランス維持がTVR併用療法の治療成績向上のため重要と考えられた.
索引用語