セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-2:

高齢者C型慢性肝炎に対する3剤併用療法について

演者 中谷 泰樹(日本赤十字社和歌山医療センター消化器内科)
共同演者 上野山 義人(日本赤十字社和歌山医療センター消化器内科), 山下 幸孝(日本赤十字社和歌山医療センター消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎1b高ウイルス症例に対しProtease阻害剤(PI)であるTelaprevir(TVR)が使用可能となり,従来の治療法と比べ高い治療効果が得られるようになったが,特に高齢患者で重篤な副作用による中止例が多数存在する.今回我々は3剤併用療法の現況を報告し,65歳未満と65歳以上の高齢者における治療効果,副作用を比較検討した.【対象】当院で3剤併用療法を行った57例.A群:65歳未満38例,B群:65歳~75歳19例.【結果】全症例でSVR12初回治療/再燃/無効でそれぞれ95.2/88.9/50(%)IL28B TTおよびTG/GG別では85%(17/20)/55%(5/9).TVR継続率はA群76.6%,B群2250mg開始群22.3%,1500mg開始群70%.A群B群に早期陰性化率に差はなかった(1/4/12週:A群6.6/72.4/96.3,B群0/72.7/94.1(%)).B群でのSVR12は初回治療/再燃/無効で75/83.3/20(%).またB群で治療継続群と中止群のSVR12は90.9%(10/11)/37.5%(3/8)であった.中止原因は貧血が最多で(34%),次いで皮疹(33%),倦怠感(25%)であった.特にB群で貧血および腎障害の発生頻度,重症化を多く認めた.(輸血投与2例,急性腎不全にて透析導入1例)【結論】当院では3剤治療導入開始直後は,高齢患者に対してもTVR2250mg投与を行っていたが,副作用による中止例が相次いだ為,TVR減量開始法にシフトし,治療継続率改善を図った.結果,高齢患者においても減量投与群では65歳未満と同程度のTVR継続を達成でき一定の認容性はあると考えられた.さらにTVR継続し得た群では,中止に至った群より高いSVR12結果となり,高齢患者に対してはTVR減量投与法を行いTVRアドヒアランス向上させる事が重要と考えられた.現在第2世代PIが認可され,発癌リスクの高い患者への早期導入や3剤併用療法は困難と考えられていた高齢患者への治療適応拡大が期待される.今後は個々の症例において肝発癌リスクと治療効果,副作用,またウイルス耐性変異出現リスクなどを総合的に勘案して,次世代治療薬まで待機するかの判断が重要となる.
索引用語