セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-3:

三剤併用療法の治療効果と問題点およびその対策

演者 鈴木 祐介(岐阜市民病院消化器内科)
共同演者 冨田 栄一(岐阜市民病院消化器内科), 森脇 久隆(岐阜大学医学部消化器病態学)
抄録 【目的】2011年12月に新たにテラプレビルの使用が認可され,すでに1年半が経過した.その高い有用性は論を待たないが,いくつかの問題点も明らかになりつつある.我々がこれまでに経験した三剤併用療法123症例の治療成績およびその問題点について検討した.【方法と成績】対象は岐阜大学関連施設(岐阜大学病院,岐阜県総合医療センター,岐阜市民病院)にて2011年12月より三剤併用療法を施行した123例(平均年齢62.9歳(28-77歳),男性:女性 70:53,背景肝 慢性肝炎:代償性肝硬変 79:44,IFN治療歴 初回48例 再燃55例 無効17例 不明3例,IL28B TT:nonTT 96:22,Core aa70 Wild:Mutant 79:26,Core aa91 Wild:Mutant 79:29,ALT 53.8IU/L,γ-GTP 43.6 IU/L,Alb 3.9g/dL,WBC 4400/μL,Hb 13.7g/dL,Plt 13.9×104/μL)である.【結果】ウイルス陰性化率(SVR12)は83.6%(97/116)であった.SVR12に寄与する因子を多変量解析にて検討すると1)治療完遂,2)IL28:T/Tが有意な因子として確認された.更に治療中止に影響する因子を検討したが,投与前のアルブミン値以外に有意なものは認められなかった.中止例は三剤治療中の早期と24週近くに多く認められる傾向があり,早期中止例からはSVR症例は認められなかった.また,肝硬変症例における検討では,治療完遂,IL28:T/Tで有意にSVR率が高く,中止に至らぬように投与量等を考慮しつつ積極的な治療介入の必要性が示唆された.【考察】当施設では治療中止を防止するためにあらかじめテラプレビルの減量基準を設け治療中止を極力少なくすることに配慮し,肝硬変症例を初めとした肝線維化進行例ではそれが有用に働いたと考えられた.【まとめ】テラプレビルは強力な治療薬であるが故,三剤併用療法を安全に成功させることが更なる治療成績の向上に繋がると考えられた.
索引用語