セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-5:

第一世代プロテアーゼ阻害剤(TVR)から得られた知見

演者 島田 紀朋(新松戸中央総合病院消化器肝臓科)
共同演者 厚川 正則(日本医科大学千葉北総病院消化器内科), 相澤 良夫(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター消化器肝臓内科)
抄録 【目的】TVR3剤併用療法によりSVR率は著明に向上したが,なおSVRを達成できない症例が存在する.第一世代プロテアーゼ阻害剤(TVR)から得られた知見を検証する.【方法】対象はGenotype1のC型慢性肝炎に対してTVR治療を施行しSVR判定可能である218例.TR12PR24が191例,T12PR48が27例である.T12PR48は前治療non-responder,non-RVR,IL28B(rs8099917)non-TT,cirrhosis症例で同意の得られた症例に行った,また一部の症例でTVR耐性変異をdirect sequence法で測定した.【成績】1)前治療歴別のIL28B TT比率はna?ve/relapser/partial/nullで73/73/30/14%であり4群間で有意差を認めた(p<0.0001).2)SVR率はIL28B TT/non-TTで96%(132/137)/60%(49/81)であり,non-TTでSVR率は有意に低率であった(p<0.0001).TTでnon-SVRであった症例は3例が短期中止例,1例が前治療nullでVBT,1例が完遂例であった.IL28B non-TTのみで解析すると,RVR(OR 8.34,p=0.0010),AFP(OR 0.96,p=0.0418)のみが独立因子であった.ROC解析でAFPのcut-off値は7.4ng/mlであり,SVR率は≦7.4/>7.4ng/mlで73%/40%と層別化された.2)124例で治療前に耐性変異を検索したが,aa36,155,156に変異は認めず,T54Sを4例,V170Iを53例,V170I/Vを8例に認めた.T54,V170の変異の有無別SVR率は夫々85/75%,87/82%と有意差を認めなかった.検索し得たVBT 6例中5例に耐性変異を認め,V36A+T54A 1例,T54A 4例であったが,24週後には検出されなかった.【結論】IL28B TTでは非常に高率にSVRが達成されたが,non-TTではAFPがsurrogate markerに成り得る可能性がある.VBT例で高率に耐性変異が出現したが,24週後には消失しており,次世代治療への影響は考えにくいが,TVR failure症例に対する新規の治療時の耐性変異の出現の検討が必要である.
索引用語