セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-6:

C型慢性肝炎に対する第一世代プロテアーゼ阻害剤(Telaprevir)の適応と限界~多施設共同による知見~

演者 川上 由育(広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 今村 道雄(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対するTelaprevir/PegIFN/RBV併用療法(3剤療法)の治療効果を検討する.【方法】(1)3剤療法にてSVR24が判明した257例(性別:男/女131/126例,年齢:中央値61歳,IFN治療歴:初回治療/再燃/無効/57/104/96例,IL28B遺伝子型:TT/nonTT(TG,GG)153/104例)においてSVRに寄与する因子の解析を行った.(2)Telaprevir(TVR)の日本人における適切な用法用量を検討するためIL28BTTあるいは前治療効果再燃例に対して1500mg(12時間毎)と2250mg(8時間毎)をRCTにより検討した.【成績】(1)24週治療完遂は163例,延長投与25例,3剤中止36例であった.延長を除く199例でのSVR率は75%(149/199)であった.SVRに寄与する背景因子として単変量(SVRありの値vsなしの値,P値)にて白血球数(5140vs4546,P=0.006),血小板数(17.6万vs12.5万,P<0.001),HCV量(6.38vs6.63,P=0.049),前治療効果(NR以外/NR)(116/33vs16/34,P<0.001),IL28B(TT/nonTT)(108/41vs17/33,P<0.001),HCVcore70AA(野生型/変異型)(65/38vs10/22,P=0.002)に有意差を認め,多変量にて血小板数(15万以上),前治療効果(NR以外)およびIL28B(TT)が独立した因子として抽出された.SVRに寄与する治療因子として単変量にて完遂(有/無)(140/9vs23/27,P<0.001)とRVR(有/無)(108/25vs16/25,P<0.001)に有意差を認めいずれも多変量にて独立した因子として抽出された.TVRの用量は差を認めなかった.(2)1500mg群26例と2250mg群26例では背景に有意差は認めなかった.血中のウイルス減少量は投与4週目:1500mg群-6.8Log/ml,2250mg群-6.5Log/mlと同程度であり8週目には全例が陰性化していた.SVR率も92.3%(24/26)と同等であった.【結論】3剤療法は治療が完遂できれば良好な治療成績が得られる.IL28BTTあるいは前治療効果再燃例に対するTVRの適切な用法用量は1500mg(12時間毎)である.IFN感受性が高く線維化があまり進行していない血小板数が保たれた症例が適応となると考える.
索引用語