セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-7:

プロテアーゼ阻害薬を用いた3剤併用療法における延長投与の有用性

演者 菅原 通子(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
共同演者 持田 智(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科), 埼玉肝臓病 研究会(埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
抄録 【目的】TPVを用いた3剤併用療法では,無効例とIL28B SNPsがminorでコア70が変異株の症例におけるSVR率が低い.その対策としてRBVとPeg-IFNの投与期間を延長するAG&RGTトライアルの有用性を検討した.
【方法】対象は初回158例,再燃105例,無効66例,不明9例の計338例.治療期間はRVRでIL28Bがmajorないしminorでも12週目までRBVとPeg-IFNのadherenceが共に80%以上では24週,RVRで何れかが80%未満かつIL28Bがminorおよびnon-RVRかつcEVRは48週,pEVRは72週とした.
【成績】24週で治療終了の149例におけるSVR率は89%で,無効例でも79%,IL28Bがminor,コア70が変異株でも69%と高率であった.延長投与61例のうち45例は既に48週の治療が終了し,SVR率は78%で,再燃例は1例(2%)で,breakthrough例は9例(20%)であった.24週以内に副作用で中止した51例のSVR率は35%で,再燃例が16例(31%)と多かった.多変量解析ではSVRに寄与する要因として治療期間(Odd’s比は中止:その他が0.111,延長:その他が4.926)が抽出された.早期登録251例の治療経過を詳細に見ると,全症例でのSVR率は74%で,24週の治療終了例のうちIL28Bがmajorの場合は93%に比して,minorでadherence良好例は72%と低率であった.一方,48週の延長例におけるSVR率は78%で,うち無効例では58%であった.しかし,無効例における再燃率は,24週治療では22%で,48週治療における8%より高率であった.また,IL28Bがminorでコア70が変異の14例で延長投与を終了したが,そのSVR率は57%で,再燃は1例(7%),breakthroughが5例(36%)で認められた.
【結語】AG&RGTのプロトコールに準拠して治療期間を延長とすると,難治性症例における再燃を防ぐことでSVR率が向上した.しかし,副作用によって治療を早期中止した症例のSVR率が低いことと,無効例およびIL28Bがminorでコア70が変異株の症例ではbreakthroughを生じる頻度が高いことが問題であった.
索引用語