セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-10:

IFN/RBV/TVR3剤併用療法におけるDAA耐性変異の意義

演者 板倉 潤(武蔵野赤十字病院消化器科)
共同演者 黒崎 雅之(武蔵野赤十字病院消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
抄録 【目的】新規薬剤やIFN free DAA療法の臨床導入を視野に,DAA耐性変異とIFN/プロテアーゼ阻害剤併用療法の治療効果との関連や問題点について検討した.【方法】C型慢性肝炎49例でNS3・NS5A変異をdirect sequencingで検討した.4週Peg-IFN/RBV併用Lead-in後Telaprevir(TVR)3剤併用療法施行47例で,Lead-inの反応性や治療前の耐性変異とSVRとの関連を検討した.【成績】NS3耐性変異はV36-T54多重変異2%,Q80:6%で,高度耐性を呈するR155,A156,D168変異は0%であった.NS5A耐性変異はQ24:15%,L28:12%,R30:12%,L31:4%,F37:58%,Q54:54%,P58:8%,Q62:12%,A92:8%,Y93:31%,F37-Y93多重変異8%,Q54-Y93:23%で,高度耐性を呈するL31-Y93多重変異は4%認めた.NS3-NS5A多重変異は4%認めた.IL28B TTで耐性変異なし例50%,NS3耐性変異2%,NS5A耐性変異27%,IL28B nonTT例ではそれぞれ19%,0%,4%であった.Lead-inでのHCV減衰量<1.0/1.0-1.9/≧2.0LogにおけるTVR併用後のHCV RNA陰性率は,2週後0%/80%/100%,4週後67%/100%/100%,SVRは33%/75%/100%であり,Lead-in反応性は治療効果と密接に関連した.NS3多重耐性変異例(V36-T54,IL28B TT)では,Lead-inによりHCV RNAが2.3 Log減衰した時点でも同多重変異が検出されたが,TVR併用開始翌日HCV RNAは陰性化,SVRとなった.NS3耐性変異を認めなかったLead-in反応不良の1例(HCV減衰0.8Log,IL28B/TG)は,TVR併用8週後にT54A変異によるbreakthroughをきたした.【結論】治療前NS3耐性変異の頻度は低く,IFN/プロテアーゼ阻害剤併用療法ではIFNに対する応答性があれば同変異は臨床的に問題とならない.一方NS5A耐性変異の頻度は高く,高度耐性を呈しうる多重変異も少数存在するため,IFN free DAA療法を含めた治療戦略を考慮する際にはNS5A耐性変異の評価が重要となる.
索引用語