セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-11:

プロテアーゼ阻害剤併用療法の治療予測因子・薬剤耐性ウイルスの検討

演者 須田 剛生(北海道大学消化器内科)
共同演者 中馬 誠(北海道大学消化器内科), 坂本 直哉(北海道大学消化器内科)
抄録 【背景/目的】シメプレビルが認可されDirect Acting Antivirals(DAAs)による治療が主流となる事が予想されるなか,初のDAAsを含むTPV併用治療における治療予測因子,薬剤耐性変異ウイルスの検討は今後の治療をより効率的に行う為に重要である.我々はTPV併用療法の治療予測因子と,治療前後における薬剤耐性ウイルスの検討を行った.【方法】当院,関連施設においてTPV併用療法を施行した113例を対象とし,治療終了24週後ウイルス学的著効(SVR24)に関与する因子と治療前,治療不成功例における耐性変異ウイルスについて次世代シークエンサーにて解析した.【成績】SVR24達成率は77%(58/75)で,SVR24に寄与する因子は単変量解析では,RVR,TPV/IFNアドヒアランスが抽出された.治療予測因子としての重要性が報告されている前治療成績,コア70番変異,IL28B SNPも加え多変量解析を行ったところ,IL28B SNP,TPVアドヒアランスが有意な因子として抽出された.更に治療前6例の保存血清を用い,TPV耐性変異の有無と治療成績の関連の検討を行った.治療前に耐性変異ウイルスを有する症例を一例認め,同症例はSVRとなったが,一方耐性変異ウイルスを治療前に認めない5症例中にnon-SVR症例を認め治療前の耐性変異は治療成績に影響をしなかった.また治療中止non-SVR症例2例においては,治療前には耐性変異ウイルスを認めなかったが,治療中止後2例ともに耐性変異ウイルスを認めた.【結語】シメプレビルはTPVに比して副作用が少ない事が予想され高いアドヒアランスが期待できる一方,IL28B SNPなど治療抵抗性因子については問題となる.経口薬のみのIFN freeの治療を考慮すると治療不成功例における耐性ウイルス出現は問題となる事が考えられる.
索引用語