セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-13:

次世代プロテアーゼ阻害剤併用3剤治療の適応症例の検討

演者 中川 美奈(東京医科歯科大学消化器内科)
共同演者 朝比奈 靖浩(東京医科歯科大学大学院・肝臓病態制御学), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎の患者高齢化が問題となる我が国では,治療効果と副作用,発癌抑制効果が治療導入に際して重視されるべきである.今回我々はTelaprevir(TVR)とSimeprevir(SMV)併用3剤治療の自験例をもとに,宿主・ウイルス遺伝子情報に基づく治療適応について検討した.【方法】2012年1月以降当院および研究協力施設でPEG-IFN/RBV/TVR併用3剤療法を導入し,最終効果判定および遺伝子解析可能だったGenotype1(G1)216例を対象に宿主遺伝子IL28Bおよびウイルス因子とともに治療効果および副作用との関連を検討した.また,PEG/RBV2剤治療で無効だった6例に対してSMV併用3剤療法を施行した自験例について検討した.【結果】PEG-IFN/RBV/TVR3剤治療のSVRは83%(101/122)であった.SVR12を年齢別に比較すると<65歳/65-69歳/≧70=88%:75%:92%と年齢で有意差を認めなかった(p=0.226).IL28B遺伝子多型間でSVR12を比較するとTT:TG:GG=92%:68%:40%とIL28B多型間で有意差をみた(p<0.001).皮疹出現頻度とGradeを年齢別に比較すると,<65歳/≧65歳でG1:G2:G3=37%:12%:8%/27%:16%:4%であり有意差を認めなかった(p=0.362).SMV3剤療法を施行した6例ともにIL28B:TGでコア70/91変異はWW/WM/MM=3/1/2と難治因子を有していたが,薬剤アドヒアランスは良好でPEG/RBV治療効果がPRだった2例は治療開始後3週でHCV陰性化が得られSVRを得た.一方,前治療NRだった4例はnon SVRで,SMV治療後8週にHCV陰性化した1例はSMV終了後にBreakthroughをみた.【結語】TVR併用3剤治療の効果は良好で,高齢者でも症例を選択しアドヒアランスが確保できれば非高齢者とほぼ同等の治療効果が得られた.SMVは重篤な副作用もなく良好なアドヒアランスが得られたことから,高齢者においてもより良好な治療成績が期待できる.一方,IFN応答性がない症例への使用は慎重にすべきと考えられた.
索引用語