セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-14:

C型慢性肝炎に対するDAAs併用療法の治療効果

演者 瀬崎 ひとみ(虎の門病院肝臓センター)
共同演者 鈴木 文孝(虎の門病院肝臓センター), 熊田 博光(虎の門病院肝臓センター)
抄録 【目的】テラプレビル(TVR)併用療法は薬剤投与量を柔軟に調製することにより治療効果を改善し得た.一方,シメプレビル(TMC435)は副作用も軽減され,高いSVRを得られることが期待される.TVR市販後の症例で背景肝組織別に治療成績を比較検討し,さらにTMC435使用症例の詳細について検討した.【方法】当院においてgenotype 1型,高ウイルス量のC型慢性肝炎症例に対し,1)市販後TVR3剤併用24週間治療を行った184例で線維化進行例と非進行例の背景因子およびSVR12を評価し,2)TMC435の3剤併用療法を行った18例の治療効果を検討した.【成績】1)男性117例,女性67例,年齢は21-73歳(中央値59歳)であった.線維化非進行例が113例,進行例が71例であった.線維化進行例は治療前ALTが高く,Hbが低く,血小板数が少なく,TVR,PEG-IFN,RBV減量開始例が有意に多かった.治療経過では12週までのTVR adherence,24週までのPEG-IFNおよびRBV adherenceが有意に低かった.しかしながら,治療中のTVR中止率,全中止率は同等であり,HCV RNA陰性化率に有意差は認めなかった.SVR率は全体で84%であり,線維化非進行例で92%,進行例で72%と有意差を認めた.SVRに寄与する独立因子は,線維化非進行例,IL28Bgenotype TT,開始時PEG-IFN減量なし,開始時RBV/体重比11.0以上,治療完遂であった.2)男性6例,女性12例,年齢は38-70歳(中央値59歳)であった.治療中のHCV RNA陰性化率は,2週目16.7%,4週目77.8%,6-12週目いずれも94.4%であった.TMC435中止例は1例(T-Bil上昇),全中止は3例(貧血,鬱,無効)であり,無効以外の3例はSVRとなった.前治療歴別のSVRは,初回治療例が75%,再燃例が100%,無効例が43%であった.【結論】線維化進行例はTVR併用療法でも最終治療効果は低下することがわかった.一方で,TMC435はこういった症例にも安全に治療継続可能であれば治療効果が改善されることが期待される.
索引用語