セッション情報 ワークショップ10

プロテアーゼ阻害剤の知見と問題点

タイトル W10-15:

simeprevir3剤併用療法の有用性

演者 中島 知明(札幌厚生病院第三消化器内科)
共同演者 髭 修平(札幌厚生病院第三消化器内科), 狩野 吉康(札幌厚生病院第三消化器内科)
抄録 【目的】1b高ウイルス量のC型慢性肝炎に対するsimeprevir3剤併用療法(SMV群)の有効性と有害事象発現,薬剤アドヒアランスについて,PEG-IFN/RBV2剤併用療法(P/R群),telaprevir3剤併用療法(TVR群)と後方視的に比較検討を行う.
【方法】SMV群27例[男性13例,平均年齢56.4歳,IL28B TT 15例,初回治療12例,再燃8例,無効7例],TVR群65例[男性37例,平均年齢56.0歳,IL28B TT 43例,初回治療28例,再燃25例,無効12例]P/R群190例[男性94例,平均年齢54.9歳,IL28B TT 98例(不明40例)]を対象とした.肝硬変例は除外した.SMVは1日100mg(一部50mg)で12週間(一部24週間)投与,TVRは1日量1500mgまたは2250mgを12週間投与した.治療効果はSVR24(終了後24週時)で評価した.
【成績】SVR24の達成例は,SMV群24例(85.2%),TVR群では判定可能58例中49例(84.5%),P/R群では86例(45.3%)であり,前治療内容別では,SMV群/TVR群でそれぞれ,初回治療例100%/96.0%,再燃例87.5%/78.3%,無効例57.1%/72.7%,開始用量に対する開始後12週間のPEG/RBVの投与量率(%)は,SMV群の92.6/93.5に対してTVR群では90.6/63.3,P/R群では98.7/94.3で,RBV減量はTVR群に高率であった(p<0.05).治療開始後0/1/2/4/8/12週における平均Hb値(g/dl)は,SMV群14.1/14.0/12.8/12.2/11.5/11.3,TVR群13.8/13.6/12.4/11.2/10.1/10.0,P/R群13.6/13.5/12.5/11.7/11.3/11.1,同様に血小板数(万/μl)は,SMV群16.3/13.0/14.5/14.3/13.7/13.3,TVR群16.8/12.5/13.3/11.8/12.0/11.8,P/R群16.7/13.1/14.5/14.4/13.7/13.7,治療開始後0/1/2/4週における平均血清Cre値(mg/dl)は,SMV群0.70/0.68/0.67/0.67,TVR群0.70/0.85/0.81/0.85,P/R群0.69/0.69/0.66/0.65であった.治療開始後4週におけるRBV血中濃度に有意な差を認めなかった.
【結論】SMV3剤併用療法は,TVR3剤併用療法に比し腎障害を認めず,Hb低下ならびにRBV減量はPEG/RBV2剤併用療法と同等であり,抗ウイルス効果はTVR3剤併用療法と同等に高かった.
索引用語