セッション情報 |
ワークショップ11
高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点
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タイトル |
W11-2:総胆管結石治療におけるESTの長期予後と年齢を考慮した予防的胆摘術の効果
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演者 |
中路 聡(亀田総合病院消化器内科) |
共同演者 |
平田 信人(亀田総合病院消化器内科), 小林 正佳(亀田総合病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】高齢者におけるEST後の予防的胆摘術の有用性を明らかにするため,当院で総胆管結石治療時にESTを施行し1年以上追跡した有胆嚢症例727例を用い検討した.【方法・検討】有胆石と無胆石に群別化し,それぞれ胆摘群と胆嚢温存群でカプランマイヤー法により再発率を求めた.検討1.予防的胆摘術の胆管道結石再発抑制効果を検討した.検討2.有胆石胆嚢温存群の再発曲線と平成24年簡易生命表から各年齢階層の死亡前再発率を予測した.検討3.年齢毎の予防的胆摘と再発時内視鏡治療のDPCにおける費用対効果および予後について検討した.【結果】年齢中央値75(18-99)歳(非高齢172例,前期183例,後期270例,超102例).観察期間中央値1402(368-3757)日.有胆石640例,無胆石87例.採石後胆摘208例,胆嚢温存519例であった.結果1.ログランク検定による有胆石群の胆管結石再発率は胆摘群で有意に低かった(P<0.01).再発胆管結石抑制における予防的胆摘術のNNTは追跡期間毎に1年19.6,3年7.6,5年5.9,8年5.1,10年2.6であった.結果2.超高齢者の死亡前予測胆管結石再発率(男・女)は85歳25.8%・31.7%,90歳24.1%・25.8%,95歳19.1%・22.8%,100歳13.1%・16.2%であり95歳でも胆摘による有意な胆管結石再発抑制効果が期待された.結果3.NNTから算出した85歳男性1人の胆管結石再発予防目的胆摘に要するDPC点数は330400(女性285600)点である一方1人の急性胆管炎に対する入院加療は59000点であった.胆摘および再発胆管炎関連死亡例は認めなかった.【結論】再発胆管結石抑制の観点からは超高齢者においても予防的胆摘術は有用である.しかし,再発胆管炎の死亡率は0%であることから,予防的に胆摘を加えることが再発時に再度の内視鏡治療を行うことより患者に対して有益であると言えない.医療経済の観点からは複数回の再発胆管結石を予測する因子の同定が必要であると考えられる. |
索引用語 |
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