セッション情報 ワークショップ11

高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点

タイトル W11-3:

総胆管結石に対する内視鏡治療成績の年齢層別比較検討

演者 土井 晋平(岐阜大学第一内科)
共同演者 安田 一朗(岐阜大学第一内科), 森脇 久隆(岐阜大学第一内科)
抄録 【目的】総胆管結石に対する内視鏡治療の成績を年齢層別に検討する.【方法】1991年4月から2013年8月までの期間に,当施設において内視鏡治療を行った総胆管結石症例を調査し,高齢者群(85歳以上)と非高齢者群(85歳未満)において治療成績を比較検討した.【結果】対象は1653例(初回治療1417例,再発236例),高齢者群669例,非高齢者群984例.両群の背景因子(高齢者群/非高齢者群)において,併存疾患(心疾患・脳血管疾患・悪性疾患)の有無(23.6%/14.2%),出血傾向の有無(11.8%/6.4%),結石最大径(平均11mm/8mm),結石数(平均3.2個/3.0個),胆管径(平均14.7mm/12.1mm),傍乳頭憩室の有無(36.3%/26.1%)で有意差を認めた.初回例における乳頭処置(EST/EPBD/EPLBD)も高齢者群(72.1%/22.9%/5.0%)と非高齢者群(68.9%/30.2%/0.9%)で有意差を認めた.完全結石除去率は両群とも99.6%であったが,機械的砕石具使用(22.9/8.8%)に有意差を認めた.その他治療(ESWL・POCS)の併用(6.0%/4.9%)には有意差は認めなかった.治療日数(平均5.8/5.0日)・内視鏡施行回数(平均1.34/1.28回)は両群間に有意差を認めなかったが,総入院日数(平均13.0/11.0日)に有意差を認めた.早期偶発症は77例(11.5%)/119例(12.1%)に認め,高AMY血症(10.3%/11.2%),術後膵炎(4.0%/3.3%),術後胆管炎(5.8%/5.8%),術後出血(1.5%/2.5%)のいずれにおいても両群間に有意差は認めなかった.処置後の長期観察(平均76.2/89.2ヶ月)において,結石再発・胆管炎には有意差を認めなかった(12.7%/11.6%).有胆嚢結石例に対する胆摘施行率は有意差を認めたが(41.7%/62.6%),非施行例の胆嚢炎発生率には有意差を認めなかった(4.7%/6.9%).【結語】非高齢者群と比べ高齢者群ではいわゆるDifficult Stoneの割合が高かったが,短期・長期治療成績はほぼ同等であり,年齢を配慮した治療方針変更の必要性は低いと考えられた.
索引用語