セッション情報 ワークショップ11

高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点

タイトル W11-4:

後期・超高齢者の総胆管結石に対する内視鏡治療―EPBD・EPLBDの有用性―

演者 白田 龍之介(東京大学消化器内科)
共同演者 伊佐山 浩通(東京大学消化器内科), 小池 和彦(東京大学消化器内科)
抄録 【目的】進行する高齢化社会において,後期・超高齢者の総胆管結石の治療を行う機会が増加している.基礎疾患を多く有する高齢者の治療では,治療成功率と共に安全性を考慮する必要がある.【方法】2013年8月までに当院でendoscopic papillary balloon dilation(EPBD)/large balloon dilation(EPLBD)にて治療した乳頭処置歴のない総胆管結石755例の内,75歳以上の303例(85歳以上超高齢者87例)を対象に,75歳未満と安全性・有用性について検討した.【結果】平均年齢81.5±5.3歳,男女比1:1.2.背景因子はamerican society of anesthesiologists physical status 1/2/3/4 14.9/51.8/27.7/2.6%,最大結石径9.1±5.6mm,結石数3.3±3.8個.75歳未満と比較して大結石・多数結石であったが,完全結石除去率97.4%と良好であった(結石破砕率36.3%).平均治療時間は49.0±24.6分,平均施行回数は1.7±1.2回.早期偶発症は31例(10.2%)で,ERCP後膵炎は18例(5.9%,重症1例)で認めた.その他,誤嚥性肺炎1例,後腹膜穿孔1例.抗血小板薬を内服例(29.5%)についても出血は認めなかった.術後死亡は2例(急性心筋梗塞(27日目),誤嚥性肺炎(28日目))認めた.最大結石径15.4±5.1mmの17例に対しEPLBD施行し,平均1.4±0.9回で完全除去でき,偶発症は認めなかった.超高齢者においては85歳未満と比較し有意に合併症発生率が低く(2.2%),特に膵炎の発生率が低かった(1.1%).【結論】高齢者においてもEPBDによる胆管結石除去は安全かつ有用であったが,高齢者特有の偶発症に注意する必要があると考えられた.ERCP後膵炎は非高齢者の報告と同程度であったが,超高齢者では有意に低かった.また,EPLBDの安全性も高く,大結石が多い高齢者において治療回数の減少に貢献し得ると考えられた.
索引用語