セッション情報 ワークショップ11

高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点

タイトル W11-6:

後期高齢者に対するEndoscopic sphincterotom combined with large balloon dilation(ESLBD)の有効性と安全性の検討

演者 殿塚 亮祐(東京医科大学消化器内科)
共同演者 糸井 隆夫(東京医科大学消化器内科), 森安 史典(東京医科大学消化器内科)
抄録 【背景と目的】近年,高齢者の総胆管結石の発症頻度は増加傾向にある.ESTによる切石は確立されているが,巨大結石や多発例においては,治療に難渋する事が少なくない.機械式結石破砕術や電気水圧衝撃波等の付加処置,また複数回の処置が必要となる場合があり,高齢者においては大きな身体的負担となり得る.一方で近年,ESTとラージバルーンを併用したESLBDの有用性が報告されている.今回我々は,当院のESLBD症例のうち,75歳以上(後期高齢者)と75歳未満とを比較し,高齢者に対するESLBDの安全性と有用性について検討した.【対象】2006年11月から2013年8月までに当院でESLBDを施行した209例を対象とし,75歳以上135例をA群,75歳未満73例をB群とした.平均観察期間は43.0±24.5ヶ月(A:42.6±25.2ヶ月,B:43.8±23.2ヶ月),平均結石径16.7±5.4mm(A:16.9±5.4mm,B:16.3±5.4mm),平均結石個数3.3±2.8個(A:3.4±2.9個,B:3.2±2.6個)であった.当院におけるESLBDの適応は1)結石長径13mm以上の総胆管結石症例,もしくは2)結石数3個以上,かつ最小結石長径10mm以上としている.【結果】1回のセッションでの完全切石率は96.2%(A:97.0%,B:94.5%)であった.手技平均時間33.5±18.1分(A:33.7±15.8分,B:33.3±21.8分).偶発症は3.4%(A:3.7%,B:2.7%),観察期間内の再発は12例(5.8%)(A:3.7%,B:9.6%)に認められた.以上の各項目で両群間において統計学的有意差を認めなかった.【結語】75歳以上の後期高齢者においても,ESLBDは有用かつ比較的安全な治療法であると考えられた.
索引用語