セッション情報 ワークショップ11

高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点

タイトル W11-7:

当センターにおける超高齢者胆管結石に対する経乳頭的内視鏡治療の成績

演者 路川 陽介(仙台市医療センター消化器内科)
共同演者 洞口 淳(仙台市医療センター消化器内科), 藤田 直孝(仙台市医療センター消化器内科)
抄録 【目的】超高齢者胆管結石患者に対する,内視鏡治療の安全性を検証すること.【対象】2000年1月から2012年12月まで,当センターでERCPを施行した胆管結石1241例中,85歳以上の超高齢者255例(高齢者群)を対象とした(男女比87:168,平均年齢88.8歳).同時期にERCPを行った65歳未満の胆管結石初回治療288例(非高齢者群;男女比166:122,平均年齢53.3歳)を対照とし,1)結石数,最大結石径,2)初回及び最終完全截石率,3)完全截石までの治療回数,4)早期偶発症発生率につき検討した.当センターではESTを基本とし,可能な限り完全截石を目指しているが,EST不能例や全身状態不良例などでは内視鏡的胆道ステンティング(EBS)を付加している.【結果】1)結石数は高齢者群で3.0±3.9個,非高齢者群で1.9±3.3個と差はみられなかったが,結石径は高齢者群で12.1±7.9mm,非高齢者群で7.3±4.9mmと高齢者群で有意に大きかった(P<0.001).2)初回治療での完全截石率は,高齢者群で49.4%(126例),非高齢者群で78.1%(225例)と高齢者群で有意に低率であった(P<0.001).最終的な完全截石率は高齢者群で88.2%(225例),非高齢者群で98.6%(284例)と差はみられなかった.高齢者群で初回治療時にEBSを行った症例の35%は大結石,多結石例であったが,残りの65%は,重症胆管炎に伴うDICや重篤な基礎疾患が背景に存在する全身不良例,および抗血栓薬内服例であった.最終的に完全截石が得られなかった30例では,EBSのまま経過観察となった.3)完全截石までの治療回数は,高齢者群で1.5±0.8回,非高齢者群で1.3±0.6回と差は認めなかった.4)早期偶発症は,高齢者群,非高齢者群でそれぞれ12.9%(33例),13.5%(39例)に認め,両群間に差はみられなかった.偶発症の内訳は膵炎7.1%(18例),出血4.7%(12例),胆管炎1.9%(3例)であった.いずれも軽症で保存的加療により改善した.【結論】超高齢者の胆管結石に対する内視鏡治療は,非高齢者と比べ初回截石率は低いものの,安全に施行可能であった.
索引用語