セッション情報 |
ワークショップ11
高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点
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タイトル |
W11-9:超高齢者の総胆管結石症に対する治療方針の検討
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演者 |
渕崎 宇一郎(恵寿総合病院消化器内科) |
共同演者 |
西川 昌志(恵寿総合病院消化器内科), 宮森 弘年(恵寿総合病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】高齢者の総胆管結石は閉塞性胆管炎を発症すると重症化しやすく迅速な治療が必要であるが,症例に応じたより低侵襲な治療法の選択が求められる.当地区では高齢化率が高く閉塞性胆管炎で緊急入院となる症例が増加傾向にあり,今後全国的な傾向になるものと推測される.当院での治療と経過をまとめ超高齢者の総胆管結石治療に対する安全性および治療方針について検討を行なった.【対象と方法】2003年1月より2013年3月までに総胆管結石治療を行った1275例中85歳以上の超高齢者342例(85~89歳:318例,90~99歳:19例,100歳以上:5例)を対象とした.平均年齢89.1歳(85-107),男性/女性:114/228例.【方法】入院時DIC症例や抗血栓薬服用中の場合は,初回は内視鏡的チューブステント留置術(EBS)のみを施行し後日治療を行った.EST後截石治療を原則とし,巨大結石や積み上げ結石例に対しては大バルーン拡張併用EST(EPLBD)を行った.長期臥床や治療困難例ではEBS単独(2本留置を原則)とした.ステント交換は再閉塞時とした.【結果】ESTおよびEPLBDにより截石は可能であり,EBS単独群は14例であった.EBS単独となる要因は,重篤な並存疾患,下部胆管狭小例,家族の意向であった.EPLBDを施行した超高齢者は28例で,短時間かつ一回での載石が可能となり,穿孔例や状態の悪化例はなかった.EBS単独例14例中6例は再閉塞のため再留置を行ない,3例は繰り返す胆管炎のため載石を行なった.EBS単独群での平均観察期間は952日(最長維持期間1788日)であった.偶発症:1例に胃粘膜裂創を認めたが,中等度以上の膵炎例はなかった.【結語】EPLBDは超高齢者においても安全に導入可能であり,治療時間・回数が短縮され有用な治療法であるが,長期予後については今後も症例の蓄積を必要とする.EBS単独でも長期間良好な経過がえられる症例もあり,症例によっては治療の選択肢の一つとなりうる.超高齢者においても内視鏡的治療は安全に施行できており,積極的な治療は早期離床などQOLの改善に寄与すると考えられた. |
索引用語 |
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