セッション情報 ワークショップ11

高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点

タイトル W11-10:

高齢者総胆管結石の特徴と,抗血小板薬内服継続下でのESTの安全性についての検討

演者 友田 健(福山市民病院内科)
共同演者 植木 亨(福山市民病院内科), 名和 徹(福山市民病院内科)
抄録 【背景と目的】抗血栓薬内服中の高齢者総胆管結石を治療する機会は増加している.当科ではESTを基本方針としているが,改定された抗血栓薬のガイドラインでは抗血小板薬内服継続下でのESTも推奨している.しかし,高齢者の抗血小板薬内服継続下でのESTの安全性についての報告は少ない.そこで,当科でESTを施行した高齢者総胆管結石において,抗血栓薬の内服状況などを確認し,抗血小板薬内服継続下でESTを施行した症例の出血性偶発症の頻度を非内服例や休薬例と比較検討した.【対象と方法】対象は2010年10月から2013年7月の総胆管結石303例中ESTを施行した214例(平均74歳).治療方法は,小結石に対してはEST単独(149例),大結石に対してはEST+EPLBD(42例),全身状態不良例ではEST+EBD(23例)とした.64歳以下を非高齢者群(41例),65歳以上を高齢者群(173例)として,各群の抗血栓薬内服状況や治療状況を検討した.また,高齢者群173例の抗血栓薬内服状況は非内服群125例(72%),休薬群27例(16%),継続群21例(12%)であり,これらの3群間で患者背景や入院日数および出血性偶発症の頻度などを比較検討した.尚,抗血栓薬の休薬や継続については処方科と相談し,高リスク群ではアスピリン(ASA)とシロスタゾール(CLZ)は継続とした.【結果】高齢者群では若年者群に比し,抗血栓薬の内服が多い傾向にあり(p=0.08),有意に胆管径や胆石径が大きく,EPLBD施行例が多かった.高齢者群における抗血栓薬内服状況別の検討では,非内服群が他群に比べ若年であり,継続群は休薬群に比べ入院日数が短かった.術中出血を非内服群13例(10.4%),休薬群4例(14.8%),継続群1例(4.8%)に認めたが有意差なく,術後出血は各群に1例も認めなかった.【結論】高齢者総胆管結石は抗血栓薬内服症例が多い傾向にあるが,ガイドライン通りASA,CLZ単剤であれば内服継続下でもESTは安全に施行可能であると思われ,休薬期間をなくすことにより入院期間短縮が図れる可能性があると考えられた.
索引用語