セッション情報 ワークショップ11

高齢者総胆管結石の管理と治療の問題点

タイトル W11-12:

75歳以上の後期高齢者に対する腹腔鏡下総胆管切石術の成績

演者 倉内 宣明(市立函館病院消化器外科)
共同演者 砂原 正男(市立函館病院消化器外科), 常俊 雄介(市立函館病院消化器外科)
抄録 【はじめに】高齢者の増加に伴い様々な併存疾患および胃切除術後分流再建術・胆嚢摘出術などの上腹部手術既往のある総胆管結石症例が増えてきた.当院では内視鏡的総胆管結石採石(ESTその他)不成功例,採石前後のENBD維持困難例,採石困難事前予測例に腹腔鏡下総胆管切石術(LCBDE)を行ってきた.【目的】75歳の後期高齢者に対する外科治療成績を検討した.【対象と方法】2010年1月から2013年9月までに外科治療を施行した75歳以上の総胆管結石症例は21例で,その手術術式,手術時間,出血量,術後在院日数,内科診療期間を加えた全入院日数,術後合併症を検討し,EST後胆嚢摘出術の25例と比較した.【結果】対応すべき併存疾患を15/21例(71.4%)に認め,心大血管疾患8例,認知症・脳梗塞などの中枢神経系疾患6例,胃癌・肺癌および血液癌9例,慢性腎不全2例,など多彩で胃全摘2例,胆摘4例,横行結腸切除1例と上腹部手術既往例も多かった.手術は胃全摘と横行結腸切除術の既往がある1例のみ開腹手術を選択したが,20例(95.2%)に腹腔鏡手術で行い,高度の胆嚢炎による開腹移行3例(腹腔鏡手術完遂率85%,EST後胆摘の腹腔鏡完遂率100%),不完全切石は1/21例だった(完全切石率95.2%).この状況下で手術時間は中央値200(107-387)分に対してEST後胆摘のみ131(51-238)分,以下,出血量は50(5-500)gr:10(2-340)gr,術後在院日数は15(4-116)日:3(3-31)日,内科外科の全入院日数は23(13-131)日:23(7-36)日,Clavien-Dindo III-IVの術後合併症は3例(腹腔内膿瘍,バンコマイシン腎不全,術後出血(14.2%):0例であった.【考察とまとめ】LCBDEは内視鏡治療困難例や上腹部手術既往例のある高齢者でも死亡例なく許容しうる成績であり,より積極的に治療の選択肢になり得ると考えられた.
索引用語