セッション情報 Research Forum1

炎症性腸疾患の病態と診断

タイトル RF1-3:

難治性潰瘍性大腸炎に対する,タクロリムスおよびインフリキシマブ治療の短期・長期治療成績

演者 高津 典孝(福岡大学筑紫病院消化器内科)
共同演者 八坂 太親(福岡大学筑紫病院消化器内科), 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)
抄録 【背景と目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対して,タクロリムス(Tac)およびインフリキシマブ(IFX)が使用可能となり,難治性UCの内科的治療成績は向上したが,両薬剤の使いわけに関しては,コンセンサスはない.今回,当院における両薬剤の治療成績を後方視的に検討し,両薬剤の位置づけを明らかにすることを目的とした.【方法】2004年7月から2013年8月までに,当院にてTacおよびIFXにて治療をおこなった,難治性UC123例(Tac群74例,IFX群49例)を対象とした.両群間の臨床背景,短期治療成績,長期治療成績を比較検討した.治療効果の判定には,治療前後のp-Mayoスコアを用いて判定し,p-DAIスコアが1以下となった例を寛解,各スコアがすべて改善するも,1以下とならない場合を改善,それ以外を無効と定義した.寛解例+改善例=有効例とした.【結果】臨床背景の比較では,投与前のMayo scoreが,Tac群が平均10.6,IFX群が平均8.7と,Tac群が有意により重症例に用いられており(p<0.001),PSL反応性に関しては,Tac群が有意にPSL抵抗例に対して多く使用されていた(p=0.001).投与8週間後の有効率は,Tac群が62.2%,IFX群が59.2%と,両群間で差を認めなかった.長期治療成績に関しては,3年後の累積非手術回避率が,Tac群70.7%,IFX群73.3%と両群間で差を認めなかった.【結語】Tacがより重症例に対して用いられていたが,両群間の治療成績に差は認めなかった.PSL抵抗性の重症UCに関しては,IFXよりもTacの導入が望ましいと思われた.
索引用語